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2014年2月27日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

1年後、2015年から個人所得課税の最高税率が約56%まで引き上がる。自民党政権になっても続く金持ちイジメに、富裕層の我慢は、もはや限界だ。だが、高額納税者が海外に逃避すれば、税収は減る。タックスヘイブンの締め付けが強まる今こそ、逆転の政策を。

 一時期、日本を捨ててシンガポールや香港、スイスなどに移住する日本人富裕層が急増していた。日本の所得税や相続税が国際的に高いため、税率が低かったり、課税されなかったりする国に移ってしまおうというのが動機だった。シンガポール政府などは日本人の金持ちをターゲットに、移住を勧誘していた。富裕層を顧客とする信託銀行やプライベートバンクは、そんな富裕層が日本から“逃避”する手伝いで繁盛していたものだ。

 先日、信託銀行のトップと話をしていたら、そんな富裕層顧客の行動に変化が出ているという。所得増税や資産課税に意欲を見せていた民主党政権が崩壊し、自民党に戻ったことで、富裕層が日本に逆流して戻って来ているのかと思ったら、そうではないという。移住先が米国に変わりつつあるというのである。

 理由の一つは、世界中で資金のチェックが厳しくなったこと。スイスなどタックスヘイブン(租税回避地)と呼ばれた国・地域への締め付けが厳しくなり、課税回避を狙った資金などを安心して置いておける場所がなくなった。スイスは、銀行の顧客情報を税務当局にすら開示しない「銀行守秘義務」のルールを伝統的に守ってきたが、米国などの猛烈な圧力によって風前の灯となっている。

 つまり、移住してまでタックスヘイブンに資産を移す意味合いが薄れたのだ。そんな中で、金持ちが資産を守るのに最も安全な国はどこか。高所得の起業家やビジネスマンを守ってくれるのは、やはり、資本主義の砦でもある米国だろう、というわけだ。そんな発想から米国への移住が増えているのだという。気候も温暖で日系人も多いハワイやカリフォルニアが人気らしい。

世界の富裕層の移住が増えているという米国・ハワイ州。日本が選ばれるための課題は何か……(提供・アフロ)

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