──通年採用にして、雇用の流動化を求める声もあります。
そういった声をあげるのはだいたい高学歴の人です。自分に自信をもっている。「通年採用」になり、雇用が流動化すると、自分が勝者になると、思い込んでいるんじゃないでしょうか。新卒を「じっくりと育てる」のは、終身雇用だからこそできることです。
必要なときに雇い、不要になったら解雇できると、都合がいいですが、これが通用するのは、日本では限られた業界や職種だと思います。建設業界の2次や3次下請けの小さな会社などにはいいのかもしれない。つまり、汎用品としての労働力が必要とされているところです。
今の日本は付加価値をつけてサービスしなければいけない。流動性の高い人材が多数を占めていたら難しいと思う。その会社にしかないノウハウなどを社内に残していかないと、他社と勝負ができない。特にうちのようなサービスを提供する会社は付加価値をつけていく必要があります。
──お子さんが就活でうまくいかないと嘆いていたら、どうされますか。
大量にエントリーして1つも受からなかったら、説教をしますね。「なぜ早く俺に相談しないのか」と。入りたい会社があるなら、父親である自分にそこにツテがないかを確認するのが頭のいいやり方だと思います。大量にエントリーするなんて、何を勘違いしているのか……。自分の力を過信してますよね(苦笑)。
正々堂々と闘い、玉砕する弱肉強食の社会が「美しい」とは、僕は思いません。
(聞き手/編集部 大江紀洋、伊藤 悟 文/吉田典史)
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