WEDGE REPORT

2014年6月3日

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北村敏泰 (きたむら・としひろ)

ジャーナリスト

1951年生まれ。全国紙記者として現代社会での「生と死」「いのちと心」や宗教、エンディング問題をテーマに取材・講演活動をし、社会部主任、京都総局長、編集局部長を経て2011年、定年退職後に116年の伝統のある宗教・精神文化専門紙『中外日報』の特別編集委員に就任。東日本大震災でも長期の現地取材を続け、近著『苦縁─東日本大震災寄り添う宗教者たち』(徳間書店)を出版。

 京都の真言宗本山の寺院で月1回、写経会が開かれている。常連の52歳の男性は「心を落ち着かせるために来ている。自分と対峙、対話する大切な時間だ」と静かに筆を運ぶ。同年配のシステムエンジニアの男性は「仏教の哲学的な考え方に深く感動した。現代は、社会のルールが壊れた不条理な世の中で、個人ではどうしようもない」。気持ちが落ち込むと心療内科に行くこともあるが「写経に来ると医院などよりよほど落ち着く」と話す。

京都の寺院で開かれる写経会。自らを見つめ直すかのように、心静かに筆を進める

 東京の、通信課程や通学課程がある仏教学校では、50代は27%と約3分の1を占め、以前より増えている。入学理由は「仏教を学び、心の拠り所としたい」に加え、「第2の人生を寺で送りたい」という人もいるという。

 「密教(仏教の一潮流)は欲も認める教えで、様々な人がいて社会が成り立っているという考え。こういう多様性、いい加減さが日本人には合う」

 そう語るのは、浜松市の経営コンサルタント会社社長でITコーディネータの木村玲美さん(51)。情報サービス会社や健康医療機器メーカーも股にかけたキャリアウーマンだ。40代半ばから通信講座で仏教を学び始めた。

 木村さんは、若い頃はわがままに生き、何かあると他人のせいにする他責思考の持ち主で、32歳で離婚もした。走り続けて来た仕事の面では、新卒で入った企業の最初の上司が自殺するという体験をし、会社組織と従業員とのあり方を自問自答し続けた。大企業勤務を経て36歳の時に、元同僚が立ち上げた現経営コンサルタント会社の経営に参画し、欧米型モデルを手本に企業の経営支援をしてきた。

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