ウクライナ停戦合意
「鍵は中身よりも独仏露の関与」と
ウクライナ元大統領が指摘


小泉悠 (こいずみ・ゆう)  財団法人未来工学研究所客員研究員

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に『ロシア軍は生まれ変われるか』(東洋書店)。ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

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(画像:iStock)

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マラソン競技の末にようやく合意

 2015年2月12日、昨年4月から続いているウクライナ紛争の停戦を改めて履行させるための合意文書が、15時間ものマラソン競技の末にようやく署名された。

 これはベラルーシの首都ミンスクにドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの代表が集まって行われた「ノルマンディー4」会談(昨年6月、フランスでノルマンディー上陸作戦70周年記念式典にプーチン大統領が出席した際に4カ国首脳がウクライナ情勢について協議したことに由来する)と、並行して開催された親露派武装勢力とウクライナ政府の代表者による「3者コンタクト・グループ」の協議の結果、決まったものだ。

4カ国首脳が停戦に合意
(提供:Ukrainian Presidential Press Service/ロイター/アフ)

 その最終合意文書では、火砲、ロケット、ミサイルなどの重火器の撤退距離を昨年9月の停戦合意より大幅に伸ばすことや、停戦監視にあたるOSCE(欧州安保協力機構)の監視活動を強化することなどが盛り込まれる一方、停戦の実現に関しては具体的な措置は盛り込まれず、その実効性に疑問が持たれている。

 さらに停戦合意では、親露派武装勢力の支配地域に自治権を認めると共に、年内に「分権化」を核とする憲法改革を年内に行うよう求めていることから、仮に停戦が実現しても今後の国作りのあり方を巡って紛争が再燃する恐れもある。

 しかし、3者コンタクト・グループにウクライナ代表として出席した第2代ウクライナ大統領レオニード・クチマは、今回の停戦合意には希望を持つべき点もあるという。それは、ウクライナと親露派武装勢力だけではなく、独仏露の首脳が停戦の履行に責任を負ったという点だ。

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小泉悠(こいずみ・ゆう)

財団法人未来工学研究所客員研究員

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に『ロシア軍は生まれ変われるか』(東洋書店)。ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

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