WEDGE REPORT

2015年5月8日

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復興遅れる福島は「選択と集中」のチャンス

*福島、三陸から考える 町づくりの「選択と集中」(1)はこちら

福島第一原発事故による避難指示区域の復興は、三陸に比べさらに2~3年は遅れている印象だ。とくに、住民ですら自宅に帰るのに許可を取らなければいけない帰宅困難区域が町の大半を占める双葉町や大熊町では、がれき撤去も除染もこれからで、3.11のままの光景が残されている。居住制限地域は、除染やインフラ工事が動き始めたため、富岡町や浪江町ではようやく少し変化が起きたというところだ。

3.11から時が止まったままの帰宅困難区域(福島県双葉町の中心部)

 図のように、浪江、双葉、大熊、富岡の福島第一原子力発電所近傍4町は、住民意向調査で帰還希望が全体の2割未満と、他の市町村に比べ圧倒的に低い。4年間、ほとんど復興の動きなく放置されてきたため、現役世代を中心に避難先での暮らしに根が生え、新たな地で住居を購入するなど踏ん切りをつける人が増えているからだ。大きいのは子どもの存在だ。

福島県の避難指示区域ーー各市町村の人口と住民帰還希望割合。
(注)人口は各市町村発表。一部を除き2015年3月1日現在。住民票の異動を伴わない避難はカウントされていない。帰還希望割合は避難区域の世帯主に対して14年度に実施されたアンケート調査の結果。
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 「東京に避難しているうちに標準語を話すようになり、郡山に移ればその方言を使いこなすようになる」(浪江町出身の男性)と言うように、子どもは適応が早いがその分苦労も多く、親は落ち着いた生活をさせてやりたいと願うもの。中学校入学といった節目で転居を決断する例は多い。このまままず除染、その後帰還という政策を一律に進めれば、どの町も人口が大幅に減り、かつ一気に高齢化が進むということになりかねない。各町の人口に帰還希望者の割合をかけ算すれば、1000~3000人規模の町が分散していくつも生まれてしまう。

 合理的に考えれば、広野町、楢葉町に投資を集中させるべきだろう。震災の半年後というもっとも早いタイミングで避難指示が完全に解除された広野町でも、人口の約4割、2000人強しか戻っていない。楢葉町は除染もインフラ整備も終わったが、昨年前半には行われるはずだった避難難指示解除は、賠償金の打ち切りに直結することもあっていまだに実行されていない。帰還希望割合は45.7%だから、このままでは広野も楢葉も2000~3000人規模の町になってしまう。

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