ヒットメーカーの舞台裏

2015年5月5日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 粉末、液体に続く第3の洗剤として2014年4月に登場した。フィルムにくるまれたジェル状で、大きさはゴルフボールの半分ほど。水を注ぐ前、洗濯物の一番下に入れるだけといった手軽さや、洗浄力などが評価されている。7月には香り成分を強めたタイプも追加し、同年11月にはシリーズでの販売シェア(金額ベース)は約8%を占めた。シェア変動の少ない洗剤市場で、しっかりした地位を固めつつある。

手でつかんでも破れないが、水には溶ける

 1個で衣料6キログラムまでの洗濯ができる。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)・ジャパンによると、家庭での洗濯の95%をカバーできる重さだという。18個入りで実勢価格は税抜き400円前後。液体洗剤と同等の費用で済むそうだ。ジェル状にすることで酵素などの有効洗浄成分を高濃度に配合することができ、洗浄力や消臭力も高めている。

 こうしたジェルボール型は、01年発売の英国を皮切りにP&Gグループ内では欧米への展開が先行した。日本への導入計画は09年に、ベルギーや日本などの研究開発部門が参画するグローバルなプロジェクトとして始まった。だが、海外の製品をそのまま日本に持ち込むわけにはいかなかった。欧米とは洗濯の条件が余りにも違うのである。

 日本およびアジア向け製品の開発責任者を務める研究開発本部シニアサイエンティストの福島久美子(35歳)によると、「日本の洗濯は欧米に比べ、水温の低さや洗濯時間の短さなど、洗剤にとっての条件は厳しい」のだ。同社の調べでは、欧州は温水を使うのが一般的で平均水温は40℃ほど。洗う時間は平均60分に及ぶ。

 これに対し、日本では水温の低い水道水を使うのが普通で、洗う時間は平均8分。すすぎは1回で済ます人も多いという。低温だと洗剤は溶けにくい。洗いやすすぎの時間も短い分、洗剤への要求度は高まるわけだ。

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