2024年4月16日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月7日

 周到な準備にも拘わらず、中国は目標を達成出来なかった。孫建国は1ダース以上の質問に正面から答えようとせず、資料の公式見解を読みあげるにとどまった。中国は、その意図と行動について提起された近隣諸国の懸念に向き合う機会を逃した。中国は、他国の懸念は知ったことではなく、既定路線を進むだけという印象を残すこととなった、と書いています。

出 典:Bonnie Glaser ‘China’s missed opportunity at the Shangri-La Dialogue’(Pacific Forum CSIS, June 3, 2015)
http://csis.org/files/publication/Pac1338.pdf

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 筆者のグレイザーは、シャングリラの会議に出席していたようで、上記は、現場で得た所感を書いたものです。

 中国代表団が、カーター国防長官の演説に安堵し、「バランスがとれている」「穏当である」と評価しているというのは困ったことであるし、俄かに信じ難いことです。中国の外務報道官は、演説を「馬鹿げている」と一蹴しています。もし、中国代表団がそういう評価を口にしたとすれば、それは既成事実を積み上げる間、時間を稼ぎ、非難をやり過ごすための便法に過ぎないでしょう。

 中国は昨年のヘーゲルの演説程の厳しさはなかったと思っているといいますが、そんなことはありません。二つの演説の南シナ海の部分を比較すれば、カーター長官の演説の方がむしろ厳しいともいえ、分量は倍位あります。

 問題は、これから米国がどう動くかです。人工島の12カイリ内に航空機や艦船を進入させるのが次のステップと国防総省の報道官が述べたのですから、これをやってみるべきです。9月の習近平総書記の訪米を控えて、米国がどう対応するのか注目されます。

  
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