世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月7日

 米シンクタンクCSISのボニー・グレイサー中国研究部長が、6月3日付のパシフィック・フォーラムCSISのサイトで、シンガポールで行われたシャングリラ・ダイアローグについての所感を書いています。

画像:iStock

 すなわち、今年も中国は入念に準備して代表団を送ってきた。会議直前には国防白書を公表した。南シナ海に焦点が当たることを予期して団長に海軍提督の孫建国を選んだ。

 孫建国は、南シナ海における中国の行動は「適法、穏当、正当」であると主張し、軍は断固として国の「核心的利益」を守ると述べた。

 米国は会議の直前、海軍の哨戒機P‐8Aを埋め立て工事現場に派遣し、同乗させたCNNのカメラによる映像と、その際に発せられた中国軍の警告の音声の録音を放映させた。カーター国防長官は、ハワイで、中国は国際的な規範から逸脱していると非難した。従って、中国は米国の非難がシャングリラで最高潮に達するのではないかと怖れていた。しかし、そうはならなかった。

 中国代表団は明らかに安堵した様子であった。カーターは、米国は国際的な水域と空域を航行し飛行することを止めない、中国はルールと規範を踏み外している、埋め立ては直ちにかつ永続的に停止すべし、と述べた。しかし、カーターは中国のみならず他国の埋め立てにも言及した。両国の軍と軍との関係の改善の継続にも触れた。この地域で全ての国が勝者となる安全保障の枠組が必要とも述べた。

 演説の後、中国代表団に聞いてみたところ、カーター演説は「バランスがとれている」「穏当である」との評であった。中国がいう程、カーターの演説は昨年のヘーゲルの演説に比べて激しくなかったわけではないが、中国は范長龍中央軍事委員会副主席の訪米、米中戦略経済対話、習近平の訪米を控えて、対決を避け、米中関係への悪影響を避ける決意であった。

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