競争社会を駆け抜けるシングルたち
(前編)

頑張れば、頑張っただけのものが手に入ってきたけれど……


にらさわあきこ (にらさわ・あきこ)  文筆家

NHKディレクターとして海外紀行番組や人気スタジオ番組などを多数手がけた後、文筆業に。幸せな生き方を追求して、取材・執筆活動を行う。本サイトでの連載に加筆修正のうえ、書き下ろし原稿を加えた『未婚当然時代~シングルたちの絆のゆくえ』(ポプラ新書)のほか、500人の男女を取材して書いた『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)や、婚活する女性たちの姿を描いた『婚活難民』(光文社)、『婚活に疲れたあなたへ』(マガジンハウス)、『婚活の神様!』(幻冬舎)など著書多数。丁寧に心情に迫る取材姿勢に、定評がある。http://www.nirasawa-akiko.com/

未婚大国ニッポン~“絆”のゆくえ 「まだシングル、ずっとシングル」

毎年上がり続ける未婚率。2010年の国勢調査では、30代後半男性の35.6%、女性の23.1%が未婚で、50歳の時点で結婚していない人の割合を示す“生涯未婚率”は、男性が20.1%、女性が10.6%だった。このまま未婚者たちが増え続ければ、今後、私たちは「人口の半分近くが未婚」という未知の時代を迎えてしまうかもしれない。

このシリーズでは、未婚者たちにインタビューをすることで、未婚者が増えた背景を探ると共に、結婚したい未婚者たちが今後結婚をするためには、「誰がどんなことを行えばいいのか」、また、「結婚に縛られない“絆”にはどのようなものがありうるのか」などのヒントを探ってゆく。

 

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2015年現在、30代後半男性のおよそ35%が未婚であると言われている。また、30代後半女性の未婚率は23.1%で、50歳の時点で結婚していない“生涯未婚者”たちの割合は、男性20.1%、女性が10.6%となっている(2010年国勢調査より)。  

 しかし、未婚者たちだって、最初から「未婚になろう」と自分で選んできたわけではない。「気がついたら、未婚だった状態」が30歳前後だけでなく、40代、50代になるまで続くようになっただけだ。

 では、未婚と既婚を分けるターニングポイントとは、いったいなんだったのだろうか。

 

結婚したい……でも、できない

 結婚したいと思いつつも、なかなかしない人は多い。

 36歳の佐久間淳さん(仮名)も、そんな一人と言えるだろう。都心から1時間ほどのS県で勤務医をする彼は、住まいも生まれ育ったS県で、実家近くに住んでいる。

iStock

 30歳になった頃から結婚を意識し始めて、去年、友人に誘われて結婚相談所に入った。

 私とは、共通の知人を通じて1年前に知り合ったのだが、友人曰く、「イケメンで愛嬌のある男」。当時、私は記事に関する医学的な質問をしたくて専門医を探していたのだが、佐久間さんはどんな質問にも丁寧に答えてくれて、ついでに自分の恋愛状況まで教えてくれるというフレンドリーな面があった。

 そこで、このたびの連載を決めたときに、まずは彼に取材を申し込んだ。なぜかというと、彼のような人が結婚しない理由をこそ、私は知りたかったから。彼のような……というのはつまり、エリートでルックスもよく、コミュニケーション能力もあり、そのうえで「結婚したい」と思っている妙齢の男性という意味である。

 

好きな女性とはめったに知り合えない

 「今日、ボク、眼鏡なんですよ。しかも美容院も行けてなくてなんだかすみません」

 少し遅れたので走ってきたという彼は、登場するなり私に頭を下げた。

 平日の午後3時過ぎ。新宿のファミリーレストランはそこそこに混んでいて、時間通りに着いた私も席に案内されたばかりだった。

 ウェイターに慌ただしくアイスティーを頼むと、彼は早速口を開いた。

 「ボクが結婚できない理由ですよね……うーん、趣味が多過ぎるせいかなあ? 平日は勤務で忙しいから女性と食事にも行けないし、土日は開業のための勉強会や、スポーツの大会に向けた練習や、バンドのライブもあるし。よほどの“恋愛スイッチ”が入らない限り、ひとりの女性とまた会おうという気にはならないんですよね。だから、ダメなのかもしれないけど……」

 「結婚しない」を「できない」に変えて、おどけた感じで答えた。

 二重まぶたの整った顔立ちに、流行のチェックのシャツ。忙しくても、お洒落に手を抜きたくない。

 「だけど、佐久間さん、もてますよね」聞くと、

 「いやあ、僕なんてもてないですよ。過去につきあった女性も2人だし……」

 恥ずかしそうに目を伏せた。

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「未婚大国ニッポン~“絆”のゆくえ 「まだシングル、ずっとシングル」」

著者

にらさわあきこ(にらさわ・あきこ)

文筆家

NHKディレクターとして海外紀行番組や人気スタジオ番組などを多数手がけた後、文筆業に。幸せな生き方を追求して、取材・執筆活動を行う。本サイトでの連載に加筆修正のうえ、書き下ろし原稿を加えた『未婚当然時代~シングルたちの絆のゆくえ』(ポプラ新書)のほか、500人の男女を取材して書いた『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)や、婚活する女性たちの姿を描いた『婚活難民』(光文社)、『婚活に疲れたあなたへ』(マガジンハウス)、『婚活の神様!』(幻冬舎)など著書多数。丁寧に心情に迫る取材姿勢に、定評がある。http://www.nirasawa-akiko.com/

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