WEDGE REPORT

2015年8月5日

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村中璃子 (むらなか・りこ)

医師・ジャーナリスト

医師・ジャーナリスト。東京都出身。一橋大学社会学部・大学院卒、社会学修士。その後、北海道大学医学部卒。WHO(世界保健機関)の新興・再興感染症対策チーム等を経て、医療・科学ものを中心に執筆中。京都大学大学院医学研究科非常勤講師も務める。

ウイルス採取にいそしむ各国
情けは人のためならず

 いま、西アフリカでは援助という名の下、各国の軍隊とラボが入り乱れようとしている。日本にも前出の森川氏らが開発したステンレス製の小型グローブボックス(下の図、写真参照)があり、WHOからもこれを持ち込んで現地にラボを建設して欲しいという要請がある。

バイオセイフティレベル(BSL)の違い (出所)ダルトンのウェブサイトを基にウェッジ作成(画像提供:ダルトン)
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米CDCと米NIHの協力でリベリアに8月に新設されたモバイルラボでグローブボックスに手を入れる医師(写真:GETTYIMAGES)

 このグローブボックス、小型の衣装ケースサイズの箱の中に必要なものがすべて納まるコンパクトさの優れもの。重量は90キロと、機内持ち込みが可能となるぎりぎりのラインに設計されている。もちろん援助が第一義ではあるが、仮に日本からもラボ建設の援助を行い、エボラ検体を得るチャンスに恵まれても、国内のレベル4を稼働させなければ、せっかく得られたエボラ検体を持ち帰ることもできない。

 各国が援助の手を差し伸べる中、日本だけがこの体でよいのだろうか。各国の狙いは、リスクの元を絶つという国際協調のアピールだけではない。アフリカでエボラ検体の採取にいそしむ主眼は、ウイルス情報を獲得し、自国の危機に備えることにある。まさに、情けは人のためならず、だ。

  
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◆Wedge2014年12月号

 

 

 

 

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