チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年9月7日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

 8月末から9月にかけて北京を訪れた。中国の友人たちと日中それぞれの国での最近のトピックを話題とするなかで、意外にも中国人に大うけしたのが天津港の爆発事故に関連する日本での報道についてだった。 

「江沢民派が仕掛けた攻撃?」 
日本の報道を笑う中国の人々

天津の爆発事故現場(Getty Images)

 「あれは日本では江沢民派が仕掛けた攻撃だといわれているよ」

 こう告げると中国の友人たちは、みな腹を抱えて笑うのだ。日本に留学した経験があり、日本びいきの元官僚は、

 「東京オリンピックのエンブレムのパクリ問題といい日本社会が劣化してるんじゃないか」

 と心配顔になった。日本と関係の薄い中国人は、

 「それなら中国にも負けないくらい馬鹿げた話があるよ」

 といってこんな話をするのだった。

 「天津での事故が報じられた直後、湖南省の一人の失業中の青年が、『天津の爆発は、私の犯した間違いだった。でも、私は後悔していない』とネット上に書き込んで身柄を押さえられるっていう騒動があったんだ。湖南省公安庁の下に設けられたネット安全保衛技術偵察総隊がウィチャット上で発信した捜査情報で明らかにしたことだ。

 ご丁寧に『工場の社長が自分を薄給で酷使したことだ』と動機まで綴っていたんだけど、犯行については、『燃料の入ったドラム缶の近くにあった固形の揮発性物質に自らライターで火をつけて逃げた』というんだ。

 当局も青年の犯行声明をまともに受けてはおらず、当初からネット警察が動いて、彼を〈虚偽情報を故意に流布し社会秩序をかく乱した〉として『5日間の行政拘留』したことでも明らかだけどね」

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