軽減税率は高所得者が得するバラマキ策


大竹文雄 (おおたけ・ふみお)  大阪大学社会経済研究所教授

1983年京都大学経済学部卒業、85年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。大阪大学経済学部助手、大阪府立大学講師等を経て現職。博士(経済学)。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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9月10日、財務省は日本型軽減税率案を与党税制協議会に提出した。しかし、世論では公明党が検討している欧州型の軽減税率への支持が高い。
「軽減」という名前だけで判断すると効果のない低所得者対策を導入することになる。

軽減税率の対象となる品目の範囲も問題となる(画像:THE ASAHI SHIMBUN / GETTY IMAGES)

 消費税の軽減税率導入の是非をめぐる議論が高まっている。2017年4月に、消費税が8%から10%に引き上げられるタイミングで、消費税の逆進性を緩和するために軽減税率を導入することになっているからである。

 9月10日に開催された与党税制協議会・消費税軽減税率制度検討委員会では、軽減税率導入に関する課題がまとめられた上で、マイナンバーカードを利用した還付ポイントによる「日本型軽減税率制度」という財務省案が提示された。

 財務省案は、還付ポイント対象品の「酒類を除く飲食料品」を購入する際に、「マイナンバーカード」をかざし、消費税2%分相当の「還付ポイント」を取得して、そのポイント相当額が一定の限度額の範囲内で各個人の口座に事後的に還付されるというものである。

 これに対し、公明党は特定品目の税率そのものを下げる欧州型の軽減税率の導入を検討していると言われている。

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著者

大竹文雄(おおたけ・ふみお)

大阪大学社会経済研究所教授

1983年京都大学経済学部卒業、85年大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。大阪大学経済学部助手、大阪府立大学講師等を経て現職。博士(経済学)。

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