2024年11月22日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2015年12月27日

 眠いのでなんとか穏便に引き取ってもらおうと、なるべくK氏を刺激しないように曖昧に答えようと心がけるが、K氏は巧妙に逃げ場を塞ぎながら私から“日本人の歴史認識”を引き出そうとする。韓国の田舎の漁村の深夜の暗闇という“完全アウェイ”のグランドではゴール際に引いて守り一辺倒にならざるを得ない。

 例えば「最近の安倍の言動をどう思うか」と聞かれて「あまりニュースに関心がないので」と逃げようとすると「あなたほどの知識人がニュースを見ていないわけがない。新聞くらい読んでいるでしょう? 産経新聞ですか?」と畳み込んでくる。産経新聞は韓国では右翼の代表と見なされているので地雷を踏まないように「いやいや読売ですよ」とうっかり答えてしまった。K氏は大喜びで「読売新聞とは貴方はやはり相当右寄りですね」と攻めてくる。そもそも一国の天皇や宰相を「裕仁」「安倍」と呼び捨てにすることに不快感を覚えるが我慢していると「日本人の悪いところは問題を直視しないことですよ」と説教してくる。

国道7号線で出会った21歳のソウル大学3年生。将来のエリートだ

ドイツはナチス時代を反省しているのに
日本は真剣に反省しない

 「大日本帝国官憲が朝鮮民衆を虐殺したという歴史的事実を誰も問題視しない。天皇陛下は神様ですべて正しい。その命令で行った官憲の行為も正しいと鵜呑みにする。これは日本が島国でありお互いが慣れ合いで誤魔化しあって権力者や政治家を批判しないという体質に由来するものですよ」と高飛車に断定する。ここで生半可に反論すると敵の罠に嵌まり込む恐れがある。こみあげてくる愛国心をじっと抑えて逃げ道を探すが適当な事例が浮かばない。当方が言いよどんでいると自分の論理に当方が降参したと思い込んで次から次へと一方的に論じたてる。

 「本当は日本人も慰安婦問題なんて破廉恥な国家的犯罪を恥ずかしいと思っているんでしょう。日本政府が謝罪して賠償金を払えば韓国政府も韓国民衆も日本軍が行った世界史に例を見ない破廉恥な大罪を赦すと言っているんですよ。こんな寛大な提案を理解しようとしないのは安倍が狂信的軍国主義者で旧日本軍の間違いを認めたら大日本帝国軍隊を復活させる大儀がなくなると心配しているからです」

 「例えば100億円くらい補償金を日本政府が出せばそれで赦されるんですよ。ナチスと同じように日本の軍隊が歴史的人道的犯罪を犯したのにたった100億円も出せば問題が解決できるんですよ。ドイツが戦後どれだけいろいろな名目で巨額の賠償金を支払ったことか。それに比べれば安いものですよ」

 K氏の話しぶりから韓国の反日教育がいかに詳細にわたり徹底的に行われてきたか推し量られた。荒唐無稽な事例かつ無茶苦茶な論法であるが残念ながら反日歴史観を徹底的に学習している韓国人と議論するほどの確実な知識を持ち合わせていない。


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