映画業界の味方になったVOD


大山真理 (おおやま・まり)  ロサンゼルス在住フリーライター

WEDGE REPORT

時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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11月4日から11日までの8日間に渡って開催された映画の見本市「アメリカン・フィルム・マーケット(AFM)」。ここでは、カンファレンス「VOD(ビデオ・オン・デマンド:視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴することができるサービス)のゆくえ」と、アカデミー賞ノミネート俳優、ゲイリー・ビジーの個別インタビューを取り上げてお伝えしよう。

会場を訪れた人々(AP Invision/ John Salangsang)

 カンファレンス最終日の11月10日には、今、タイムリーな話題「VODのゆくえ-映画プロデューサーが知っておくべきこと」について、4人のパネリストによる討論が行われた。

 まず、中国カンファレンスの前に行われたファイナンス・カンファレンスで、ファイナンシャル・コンサルティング会社「エンターテインメント・パートナーズ」の執行副社長、ジョセフ・チアニーズ(Joseph Chianese)氏に、VODの現状について直撃。チアニーズ氏は、「今、VODは成長段階で、どのように使用していくかを探っている段階だ」と話す。「しかし、映画業界や映画プロデューサーにとっては公平な値段設定をすることで利点があり、よい影響を与えると思う」と続けた。世界規模の映画配給会社「ビジョン・フィルムス」のCEO、リサ・ロマノフ(Lise Romanoff)氏は、「VODは、映画プロデューサーにとって、大きなメリットになっている」と断言した。

 また、VODを利用する際の注意点として、パネリストたちから意見が挙げられた。「最も重要なことは、自作をいかにマーケティングするかということ。グーグルなどで検索したときに、自作映画が検索結果に現れるようにすることは、非常に大切」とロマノフ氏。また、音楽・映画・動画の配給会社「ジ・オーキッド」の副社長、ポール・デビッドソン(Paul Davidson)氏は、「作品に出演する俳優には、作品について自身のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで宣伝するなど、常に作品に関わってもらうように契約する必要がある」ことを指摘した。また、近年、映画を鑑賞するプラットフォームは、スマートフォン、タブレットなど多様化してきたことから、デビッドソン氏から「各SNSのプラットフォームに合うように、調整する必要がある」ことも告げられた。

「少し前まで映画業界の敵のような評価がされていたVODだが、時間が経過した今、映画プロデューサーにとって、自作が公開できるすばらしい機会になったようだ。しかし、競争が激化するだけに、作品を見てもらうためにマーケティングの重要性がわかった」。こう話すのは、オレゴン州から参加した独立系映画プロデューサー夫妻。このようにAFMで開催されたカンファレンスは、映画プロデューサーなどを対象に、全体を通して、エキスパートから有益な情報が直接得られることから、参加者からの評価は高かった。

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