対談

2016年2月22日

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 グーグル傘下企業が開発したAI(人工知能)が、欧州大会での優勝経験をもつプロ棋士に勝利したというニュースは、驚きとともに世界を駆け巡った。チェスや将棋よりも複雑さをもつ囲碁でコンピューターが人間を凌駕するのは当分先のこと、と思われていたからだ。

 同時に、コンピューターが人間から仕事を奪う可能性も、いよいよ真実味を帯びつつある。いたるところでAIが働く社会はユートピアなのか、それとも大格差社会なのか。AIのもたらす経済へのインパクトを研究する井上智洋氏と、人と人のコミュニケーションこそが成熟社会の鍵と見る飯田泰之氏、二人の経済学者が描くシナリオとはーー。

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コンピューターに奪われる仕事、奪われない仕事

井上智洋氏

井上 オックスフォード大学でAIなどを研究しているマイケル・オズボーンとカール・ベネディクト・フライが、『雇用の未来―コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文を発表して話題になりました。彼らが「クリエイティビティ」と「ソーシャルスキル」、そして「マニピュレーション(操作)」の三要素が残っていく職種の条件だろうと仮定して調べたところ、マニピュレーションの要素がある職種はあまり残らないという予測になってしまいました。

 事務労働のなかでも入力など定型的な業務仕事が代替されるのはわかっていたことですが、多くの肉体労働も代替されてしまう。タクシードライバーのような肉体を使って操作する仕事もなくなっていくし、ウェイターや理髪師のような仕事も残らない可能性が高いという予測は衝撃的でした。

飯田 マニピュレーション要素の強い種類の事務労働の代替は通説通りという見方もありますからね。

井上 彼らの予測では「10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化される可能性が高い」となっています。さらに野村総研がオズボーン&フレイと組んで日本版の「雇用の未来」をはじきだしたところ、「全雇用者の49%が自動化」となって、アメリカよりも若干高い。ほかの調査でも、2030年頃におおむね半分程度になっているというのが多いです。

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