イノベーションの風を読む

2016年4月15日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

 チャットボットをご存知だろうか。それはスマホエコノミーを大きく変えるものになるかもしれない。(編集部注:スマホエコノミーについては「スマホエコノミーを読み解く」をご覧ください)

iStock

 国内のスマートフォンの普及率は約50%になったが、その多くのユーザーが、ゲームかメッセンジャーアプリでのおしゃべり(チャット)に夢中になっている。これは世界的に見ても同様の傾向だ。ゲーム以外のスマートフォンのアプリのアクティブユーザー数を見ると、日本ではLINE、中国ではWeChat、韓国ではKakaoTalk、米国を含むその他のほとんどの地域ではFacebookか、Facebook Messengerか、WhatsApp Messengerかがトップになっている。

 WhatsAppもFacebookが買収した会社で、Facebookが1位の国でもFacebookのどちらかのメッセンジャーアプリが2位になっている。(出所:App Annie 2015 Retrospective Report)

人のおしゃべりの相手をするロボット

 そういったテキストベースのメッセンジャーアプリで、人のおしゃべりの相手をするロボット(ボット)がチャットボットだ。ボットといっても形のないコンピュータのプログラムで、これまでにも検索エンジンのための情報を自動的に収集するボットや、オンラインゲームで相手をしてくれるボットなどがあった。

 LINEは4月7日に、LINE上で動くチャットボットを開発するためのAPIを公開し、それを実際に動かすための開発者向けのテスト用のアカウントを、先着1万名に無償で提供している。

 Facebookは4月13日に開催した開発者向けのF8というイベントで、Messengerを利用した企業のチャットボットのプラットフォームをリリースした。すでにMessenger上で幾つかのチャットボットが動いている。

 LINEとFacebookだけでなく、MicrosoftやGoogleなども関連するプロダクトを立て続けに発表し、チャットボットが大きな注目を集めている。これまでスマートフォンのアプリの1つに過ぎなかったメッセンジャーアプリが、チャットボットによって他のすべてのアプリを飲み込んでしまうのではないかとまで言われている。それはどういうことだろうか。

 自分「明日はどこに行こうか?」

 友達「ちょっと待って、天気を調べてみるね」

 ……

 友達「天気はいいみたい」「確か上野で美術展をやってたから行ってみない?」

 自分「何の美術展?」

 友達「ちょっと待って」

 ……

 友達「西洋美術館でカラバッジョ展をやってる」

 自分「カラバッジョって?」

 友達「これ見て」「http://caravaggio.jp」

 ……

 自分「いいね、行ってみよう」「上野でランチを食べてから行こう」

 友達「どこで食べる?」

 自分「ちょっと待って」

 ……

 チャットボットにおしゃべりに参加させてみよう。

 自分「明日はどこに行こうか?」

 友達「@天気予報ボット 明日の天気?」

 天気予報ボット「明日の東京地方の天気は晴れです」

 自分「@天気予報ボット 気温は?」

 天気予報ボット「明日の東京地方の最高気温は20度です」

 友達「確か上野で美術展をやってたから行ってみない?」

 自分「何の展覧会?」

 友達「@検索ボット 上野の美術展」

 検索ボット「現在、上野で開催中の美術展は…」

 こんな感じで、これまでチャットを中断して別のアプリで行ってきたことを、メッセンジャーアプリの中で必要なチャットボットに質問するだけでできるようになる。「天気予報ボット」というのがチャットボットの名前で、@マークはチャットボットに呼びかけるための仕組みの一例だ。ランチのレストランを探したり、そのボットで予約することも可能になるだろう。

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