ヒットメーカーの舞台裏

2016年3月15日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 撮影者を上下・左右360度取り囲む全天球の写真を、1回のシャッターで撮影できる。最長25分間の動画撮影も可能で、カメラの楽しみ方を一気に広げた。発売は2015年10月。税込み4万2800円(リコーのオンラインストアの場合)という比較的手ごろな価格もあって、発売1カ月後でも多くの家電量販店では品薄状態が続いた。

 

専用アプリでは360度撮影した画像の一部を切り出して見られる他、VRビューモードではスマホを動かして360度を見回すことができる

 幅44ミリ、長さ130ミリというコンパクトな本体に背中合わせで2つの魚眼レンズが付いている。それぞれが180度ほどの撮影エリアをカバーし、合成して全天球の画像になる。シャッター操作などは本体でもできるが、専用のアプリ(無料)をインストールしたスマホでのリモート操作も便利だ。モニターは付いておらず、画像はスマホやパソコンなどに転送して見る。

 THETA(シータ)シリーズは13年に静止画のみの初号機、14年に動画撮影もできる機種(販売中)を投入、今回の「S」へと発展させた。そもそもの開発のきっかけは、スマホにもカメラ搭載が進み、写真や動画は、「特別の日のものでなく日常の雰囲気を伝えるものになった」との分析だという。ならば「その場全体を記録できる全天球カメラにしよう」と10年に商品化が決まった。

 13年秋からシリーズの開発リーダーを務める新規事業開発本部VR事業室シニアスペシャリストの中平寿昭(47歳)は、「S」では顧客からの要望も強かった「画質と動画性能の大幅向上という2つの課題に集中した」と振り返る。従来モデルに対し、画質を決定づけるセンサーを高性能にし、内蔵するメモリーも4GB(ギガバイト)から8GBに拡大。静止画の画素数を2倍強にしたほか、動画では1秒当たりのコマ数を2倍に、撮影時間も5倍に引き上げるなど、高画質と使い勝手を両立させた。

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