WEDGE REPORT

2016年1月10日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 デバイスの発達がコンテンツを変えるのか、あるいは優れたコンテンツへの欲求がデバイスのイノベーションを推進するのか。鶏が先か卵が先か、という話だが、コンテンツとデバイスが相互に刺激しあい、時代を先に進めているひとつの例証がユーチューブの存在だ。

ロバート・キンクル氏

 ラスベガスで開催中のCESで、ユーチューブのCBO (Chief Business Officer)ロバート・キンクル氏が基調演説を行った。その中でキンクル氏は「現在デジタルビデオ視聴の60%はユーチューブによるもの。昨年米国では60万人がケーブルテレビなどの有料テレビチャンネルの購読を廃止した。ユーチューブが娯楽の中心になりつつある」と語った。

 ユーチューブは様々な成功者を生み出してきた。その中でも最も注目されているのがスクーター・ブラウン氏だろう。スクーター氏は「スクール・ボーイ・レコード」社CEOで、ジャスティン・ビーバーを見出した人物として知られる。

ユーチューブが産み出した
ビーバー、Gopro

 会場に登場したスクーター氏は「ユーチューブがなければビーバーに出会うことはなかった。自分が育てたすべてのタレントは、ユーチューブビデオで若者の支持を集めたことによってスターになった」と、ユーチューブがいかに10代、20代の若者の音楽嗜好に影響力を持つかを語った。

 タレント育成は、かつては巨額を投資してミュージックビデオを作成、それをテレビ局などに持ち込んで使ってもらうのを待つ、というものだった。しかしスクーター氏は「予算5000ドルでビデオを作成、それをユーチューブに載せるだけで売れるタレントは瞬く間に視聴を増やしスターダムにのし上がる」という。

ニコラス・ウッドマン氏(中央)

 ユーチューブビデオはまた、デバイスにも影響をもたらした。世界最小のウエアラブルカメラ、360度パノラマカメラ、3D、4Kと様々なヒット商品を生み出すGoPro社CEOニコラス・ウッドマン氏は「ユーチューブにもっとエキサイティングなビデオを投稿したい、という顧客の熱意によって会社がここまで成長した。最初に小型のデジタルカメラを開発していた頃には、自分の会社がここまで大きくなるとは想像もできなかった」と振り返る。

 また、GoProカメラを使って話題作を次々に生み出す映像制作会社、Vrseのクリス・ミルク氏も「バーチャル・リアリティや3Dが安価で実現できることで、より迫真性に優れた映像の制作が可能になり、スマホでこうしたビデオが視聴されることで口コミで評判が広がる。映像制作が高い機材を使って莫大な費用をかけて作られる時代を、ユーチューブとGoProが変えた」と語った。

 バーチャルリアリティは映像メディアを急激に変えつつある。今回のCESでもバーチャルリアリティ機器の展示が非常に目立ったが、ゲームだけではなく普通のビデオでも3Dに変換しバーチャルリアリティ感を味わえるものが増えている。

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