海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年4月25日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

投票日当日のエンパイアステートビルは民主党と共和党のカラーである青と赤でライトアップされた

 今回のテーマは、「クリントン支持者VS.サンダース支持者」です。民主・共和両党の候補指名争いにおけるニューヨーク決戦はヒラリー・クリントン候補と不動産王ドナルド・トランプ候補が、それぞれ勝利を収めました。クリントン候補は100万票以上を獲得し、その数はトランプ候補を含めた3人の共和党候補の合計の得票数を上回ったのです。クリントン候補は、ニューヨーク州のように民主党員のみが投票できる州では強さを発揮しますが、サンダース支持者が多い無党派層が参加する州になると苦戦を強いられます。

 本稿では、第1に、ニューヨーク市マンハッタン区におけるクリントン陣営の戸別訪問について説明します。第2に、戸別訪問から得た有権者の声の一部を紹介します。第3に、ニューヨーク州民主党候補指名争いの結果から見えたクリントン陣営の課題について述べ、そのうえでどのようにしてそれを解決できるのかについて議論していきます。

NYCマンハッタン区における
クリントン陣営の「戸別訪問」

8番街で戸別訪問を実施する筆者(@ニューヨーク市マンハッタン区チェルシー)

 クリントン陣営は、ニューヨーク市マンハッタン区に戸別訪問の拠点を5つ設け、地上戦に力を入れていました。その内、2拠点は米国国際サービス従業員労働組合(SEIU)と米国教員連盟(AFT)の建物の中にあり、労働組合員と協力して戸別訪問を実施したのです。

 周知の通り、マンハッタン区には高層ビル及びアパートが数多く林立し、入口がオートロックになっているために暗証番号を入力しないと建物の中に入って戸別訪問を行うことがでません。そこで、クリントン陣営では、従来の戸別訪問ではなく、街頭で有権者に声をかけてクリントン支持者を発見し、パンフレットを配布するという作業を行ったのです。同陣営ではこれを「戸別訪問」と呼んでいました。

 前述しましたように、ニューヨーク州民主党予備選挙では登録した民主党員のみが投票できます。まず、「あなたは民主党員ですか」と声をかけ、歩行者の中から民主党員を探し出します。次に、クリントン陣営のパンフレットを民主党員に見せて、「あなたの票に頼ってもいいですか」と質問をします。「はい」と回答したクリントン支持者にはパンフレットを配布し、決めかねている有権者に対しては説得を行います。バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)の支持者の中には、筆者を説得しようとする若者がいました。もちろん、サンダース支持者にはパンフレットを配布しません。

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