世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月11日

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 米ハーバード大学ケネディスクールのグレアム・アリソンとウィリアム・トビーが、4月4日付のニューヨーク・タイムズ紙で、原発に対するテロは現実の脅威であり、原発の安全管理を強化すべきである、と述べています。要旨は、以下の通りです。

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現実味帯びる原発テロの脅威

 ベルギーの治安当局は、先月ブリュッセルを攻撃したテロリスト達の当初の標的は、原子力発電所であったのではないかと考えている。

 しかし、原発の安全対策はいまだに不十分である。

 先週の核セキュリティ・サミットで、核の安全策の強化が合意されたが、兵器級核物質を防護する監視人の武装は規定されなかった。

 核テロの議論の中心は、テロリストによる兵器級核物質の窃取や「汚い爆弾」の製造であるが、テロリストが原発を攻撃し、チェルノブイリや福島のような惨劇を起こす危険性は見逃されている。しかし、その危険は本物である。「9.11」の実行犯は、ニューヨーク市の原子力施設にジェット機を墜落させることを考えていた。アルカイダの訓練マニュアルでは、米国で恐怖を広める最適の目標に原発を挙げている。

 アメリカ人の3人に1人以上が米国で稼働中の99基の原発の50マイル以内に住んでいる。原発には何重もの安全装置が内蔵されているというが、それは事故に対するものであり、テロリストはシステムを同時に攻撃するので、何重もの安全装置も効かない。

 福島での大事故の後、世界中の原発で安全対策が強化されたが、いまだなすべきことは多い。

 まず油断と戦うことである。

 信じがたいことに、ブリュッセルのテロがあって初めてベルギー当局は原子力施設における被雇用者の個人記録を調べた。12人ほどの従業員が安全上の理由から雇用されるべきでなかったとのことである。

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