ビジネスパーソンのためのエンタメ業界入門

2016年5月14日

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山口哲一 (やまぐち・のりかず)

音楽プロデューサー、コンテンツビジネス・エバンジェリスト

1964年東京生れ。音楽プロデューサー、エンタテック・エバンジェリスト。(株)バグコーポレーション代表取締役。『デジタルコンテンツ白書』(経済産業省監修)編集委員。プロ作曲家育成の「山口ゼミ」 、次世代プロデューサーを養成する「ニューミドルマン・ラボ」主宰。エンタメ系スタートアップを支援する「START ME UP AWARDS」実行委員長。異ジャンルのクリエイターが出逢い創る「クリエイターズキャンプ真鶴」オーガナイザー。プロデュースのテーマは、テクノロジー&ソーシャルメディア活用、グローバルな活動、異業種コラボレーションの3つ。エンターテインメントとテクノロジーに関する知見を活かして、パネルディスカッションのモデレーターやITサービスへのアドバイザーとしても活動している。最新刊『新時代ミュージックビジネス最終講義』(リットーミュージック)の他、著書多数。詳細プロフィールはこちら

外国人がイメージする「クールジャパン」とは……?(iStock)

 日本のポップカルチャーが海外から注目されている現象を指し示す「クールジャパン」という言葉もいささかくたびれてきた感がありますね。「自分たちのカルチャーをクールって呼ぶのは、そもそもクールじゃない」「クールジャパンと言っている外国人は本当にいるのか?」などと批判される方の気持ちもわかりますが、日本人が自国のカルチャー、特にサブカルチャーの独自性と価値を、外国人の視点を通して再発見したという意味で、僕は意義がある言葉だと、ポジティブに捉えています。

ビジネス面での“クールジャパン”とは

 「クールジャパンとは何か?」という問いに対して、文化論的には様々な指摘があり得るでしょう。文化論視点は他の有識者の方に委ねるとして、僕は、ビジネス面から「クールジャパン」を以下のように認識しています。

 世界のポップカルチャーの覇権はアメリカが握っています。大雑把に言って「ハリウッド発」のものが世界中を覆っているというのは、ご理解いただけることでしょう。仮に世界におけるマーケットシェアを60%と考えてみましょう(感覚的な数値でデータもないので、頭の体操だと思ってご容赦下さい)。

 世界のポップカルチャー市場の6割がハリウッド発だとすれば、残りは4割です。「クールジャパン」という言葉のビジネス的な意味は、その4割の中で日本が1位になれる可能性があるということなのです。もし、半分を取れたら世界市場のシェアの20%を持つことができます。国としてのブランディング価値、マインドシェアも含めて、達成できたなら日本にとって大きな国益です。そんなチャンスが巡ってきているという状況を認識した上で戦略立てるべきなのが「クールジャパン」なのです。

 この認識に基づき作戦を立てるとすればグローバル市場の見方が違ってきます。例えばJポップの歌詞は日本語の方が良いということになるのです。フランスやブラジルのJカルチャーファンをイメージしてみてください。例えば、シャンソンが好きな日本人はフランス語の響きが、ボサノバが好きな日本人はポルトガル語の語感を好んでいるように、海外のJポップファンは、日本語の響きに魅力を感じているのです。

 もちろん外国語の語学力が要らないという意味ではありません。ライブステージでのMCは可能な限り現地の国の言葉で話したいですし、英語でメディアの取材を受けられる方がベターです。マネージャーなどスタッフは英語ができないと仕事になりません。ただ、歌詞は日本語で歌うというのが戦略的に優れているのです。実際、NHK国際放送で日本の音楽を海外に紹介している番組「J-MELO」が、毎年海外の視聴者向けに行っているアンケート調査「J-MELOリサーチ」でも、日本語の歌詞の響きが好きというファンが多いというデータは出ています。

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