赤坂英一の野球丸

2016年6月1日

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 ちなみに、新垣が今季達成した1000奪三振、100暴投はどちらも広島戦だったという因縁もある。1000奪三振は36歳の誕生日の翌日だった5月10日、本拠地・神宮球場の試合で、広島・新井貴浩を見逃し三振に仕留めて到達。100暴投はそれから1週間後の5月17日、今度はマツダスタジアムに場所を移し、エルドレッドの打席で記録している。

名実ともに随一の〝暴投王〟

 これは村田兆治(ロッテ)の145個、石井一久(ヤクルト、西武)の115個に次ぐ史上3人目の〝大台〟。新垣は1イニング3暴投のプロ野球タイ記録に加え、1試合5暴投、1シーズン25暴投のプロ野球記録まで保持している。今後、村田の通算記録145を抜いたら、名実ともに随一の〝暴投王〟になる。

 本来は決して褒められた記録ではないが、新垣の直球のキレ、変化球の落ち方がいかに鋭いかを証明する数字と言ってもいい。実際、高津臣吾投手コーチも「名誉なことではないが、それほど不名誉なこととも思わない」とコメント。自ら「100暴投Tシャツ」のデザインを買って出る〝親心〟も見せた。何らかの形で新垣の投球スタイルをファンの記憶に残すためにも、いま流行の「限定Tシャツ」はうってつけのアイテムではないだろうか。

 沖縄水産高のエースだったころから「松坂世代」を代表する好投手として勇名を馳せた新垣。03年にダイエー(現ソフトバンク)に入団後、先発の柱として活躍する一方で、何度も故障や挫折を経験してきた。14年にヤクルトに移籍、36歳の今季も先発の一角を担って粘り強い投球を続けている。

 全盛期は150キロ台のスピードを誇った直球、空気を切り裂くように鋭く縦に曲がったスライダーはもう投げられない。が、「そのぶんしっかりとコントロールすることを心がけてます」と言う。若いころは触れられたくなかった暴投の話題も「いまは慣れた」そうだ。こんなベテランの軌跡を記念するTシャツ、ビジネスを超えた〝お宝〟になる気もする。

  
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