赤坂英一の野球丸

2016年5月18日

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 日本ハムの宮西尚生というリリーフ投手を知っているファンは、全国にどのくらいいるだろう。地元・北海道の熱心なファンは別として、すぐに顔が思い浮かばないという人も多いのではないか。しかし、彼は間違いなく12球団で最高の中継ぎであり、球史に残る存在にまでなり得る可能性を秘めている。

「200HOLDS」

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 宮西は14日、本拠地・札幌ドームの西武戦で、通算200ホールドを達成した。巨人・山口鉄也に続いてプロ野球史上2人目、パ・リーグでは初めての快挙。山口は過去に二度先発しているが、宮西は一度もなく、完全なリリーフ専門の投手としてはこちらのほうが史上初だ。当日の試合後、胸に「200HOLDS」と書かれた記念のTシャツ姿でヒーローインタビューのお立ち台に登場。翌日は地元紙にも大きく報じられたが、東京のスポーツ紙はごく小さな記事で伝えただけ。この扱いの差に、マスコミの評価が如実に現れている。

 本来は、もっと認められてもいい投手だ。2007年秋の大学・社会人ドラフト3巡目で関西学院大から入団し、すべてリリーフで1年目の08年から15年まで8年連続で50試合以上に登板。地味な存在でタイトルとも無縁ながら、黙々とチームに貢献してきた。そんな宮西に私が雑誌の仕事でインタビューしたのは、13年のシーズンオフのことだ。

 いまもこんなセリフが印象に残っている。

 「マウンドに上がったら、えいやっ! って投げてます。しびれる場面で登板することが多いんで。開き直らないとやってられない」

 長年、宮西の後ろで抑え投手を務めていた武田久は逆だった。「どんな局面でも、えいやっ! はない。無死走者無しの初球でも、2死満塁フルカウントからの1球でも、抑えられる確率が一番高い球は何がいいか、とことん突き詰めて考える」と言うのだ。「それぐらい緻密な投球ができないと抑えは務まらない」というのが武田の信念だった。

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