あの負けがあってこそ

2016年4月16日

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 「僕が真ん中でボールを持っていたんですが、本来なら体から倒れなければいけないところ頭を下げて落ちてしまって、それで首が……」

ラグビー選手の金澤功貴さん「生涯ラグビーと関わっていきたい」と語る

 2013年8月の菅平。夏合宿中の出来事である。高校一年生には事態の深刻さが理解できなかった。

 「ボールが出て先輩たちが離れていったときに、視界が止まったまんま動かないんで、どういうことやって思ったんですけど。痛みは感じないし、一瞬で体が動かなくなったので、何が起きたのかまったくわかりませんでした。

 うつぶせに倒れていたので、トレーナーさんが『仰向けにせなあかん』と言っていたのが聞こえたので、首を怪我したんやなって気づいたのです。手を触って『これわかるか?』って聞かれたのですが、首から下の感覚がまったくなく、何が起きたのかわからなくて、あのときは不安だけだったです」

 本稿のテーマはそれぞれのアスリートに競技人生最大の「敗北」を振り返っていただき、その負けから何を学び、何を克服して立ち上がっていったのか、その心のあり様に焦点を当てるというものだが、今回のアスリートのターニングポイントは「負け」ではない。

 高校1年生の夏合宿で頸椎の脱臼骨折という大怪我を負って、現在進行形で怪我との戦いに挑んでいるラグビー選手の金澤功貴さんを取り上げたい。

ラグビーと出会った衝撃

 金澤功貴(かなざわ こうき)。大阪府吹田市生れ。

 功貴は年末年始の風物詩にもなっている、「全国高等学校ラグビーフットボール大会(通称『花園』)」に2015年度の大阪第3地区代表として出場した常翔学園ラグビー部のキャプテンである。

 父親に連れて行かれたラグビーカーニバルで見たトップリーグの試合が、あまりにも衝撃的で小学4年生だった功貴の心を動かした。それがラグビーとの出合いである。

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