ヤクルトが新垣渚の「100暴投Tシャツ」を製作したことをご存じだろうか。完全受注販売制で、25日から球団公式ホームページで受付を開始。希望者は31日までにサイズを指定して申し込めば、1枚3000円で購入できる。新垣は最近、「1000奪三振」の記念Tシャツもつくられたばかりだ(すでに販売終了)。これは名誉な記録だから理解できるとしても、暴投の記念グッズが製作されたのは恐らくプロ野球史上初めてではないか。
Tシャツビジネスのため、球団職員を派遣
この種の〝限定Tシャツ〟と言えば、長年広島の独壇場だった。2006年、グラウンドからベースを引っこ抜いて退場処分となったマーティ・ブラウン監督のTシャツを皮切りに様々な記録、話題、ハプニングをTシャツとして商品化。
例えば、昨年は巨人戦のサヨナラ・インフィールドフライ、今年は天谷宗一郎の初のサヨナラヒット、さらに新井貴浩が2000本安打まで残り25本とすると、新井が1安打するごとに数字を背番号の形でプリントした「カウントダウンTシャツ」を製作している。見事に記録が達成され、2000本安打記念のTシャツまで出来上がると、地元の百貨店で「新井Tシャツ」の展覧会まで催した。
そんな数々のアイデア商法が好評を博し、いまでは全国のプロ野球ファンに認知され、交流戦でマツダスタジアムのグッズショップを訪ねたパ・リーグ球団のファンを「思わず買いたくなるような魅力的なものが多い」と感嘆させるようになった。実は、ヤクルトの「新垣Tシャツ」も、そうした広島のグッズ・ビジネスを見習って実現したものである。
ただ単に広島の見よう見まねでTシャツをつくっているわけではない。かねてから懇意にしている広島、ヤクルトの球団幹部が話し合い、ヤクルトの球団職員が広島に出向いて一定期間の〝研修〟を受け、じっくり独自の商品開発のノウハウを学んだという。広島で生まれた新たな野球ビジネスの手法が、ここにきて球界全体へ広がりつつあるようだ。