BBC News

2016年7月6日

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米連邦捜査局(FBI)は5日、ヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に私用メールサーバーを公務でも使っていた問題で、司法省に訴追を求めない方針を明らかにした。ジェイムズ・コーミー長官が異例の臨時会見を開き、発表した。クリントン氏は今月末の民主党全国大会で、大統領候補に正式指名される見通し。大統領を目指すクリントン氏にとって、訴追の可能性がなくなり、大きな不安要素が取り除かれたことになる。

コーミー長官は、国務長官時代にクリントン氏が使用していた複数の私用サーバーや複数の端末を経由したメール3万点を精査した結果、機密情報が含まれるメールが100件以上確認できたと説明。クリントン氏とスタッフは「極めて不注意」だったものの、起訴に相当する内容はなく、「まともな検察官」ならば立件しないと述べ、FBIとして司法省に訴追は適当ではないと勧告すると発表した。

長官は、クリントン氏のメールがハッキングされたと示す証拠はないが、米国外でも私用サーバーで機密情報を含むメールを扱っており、かつクリントン氏が私用メールを公務に使っていることは広く知られていたため、「高度な情報通信技術を持つ」「敵対的な当事者」がアカウントをハッキングできた可能性はあると述べ、クリントン氏とスタッフの不注意を強く批判した。

その上で長官は、クリントン氏が機密情報を意図的に外部と共有したり、隠蔽目的でメールを意図的に削除したと示す証拠はないと述べ、刑事事件として立件するには相当しないと説明した。

コーミー長官は不起訴相当の判断発表に先駆けて、「これから説明する内容は、政府内の誰とも打ち合わせしていない」と強調。政治的判断は介在していないと強く示唆した。

長官によると、当時「機密」あるいは「重要機密」指定されていた情報を含むメール110件の送受信が確認されたが、クリントン氏は機密情報をメールで送ったことはないと主張していた。クリントン氏はこれまで、長官時代に私用メールサーバーを使ったのは、あくまでも便宜のためで、電話やタブレットをいくつも使い分けるよりひとつの端末に集約した方が楽だったからと説明していた。

FBIは週末にかけて3時間以上にわたりクリントン氏を事情聴取していた。

クリントン氏の私用メール問題については国務省も5月、クリントン氏をはじめ複数の元長官が、メール利用にあたってセキュリティー管理が不十分だったとする調査結果を発表していた。

訴追するかどうかを最終的に判断するのは司法省だが、リンチ司法長官はFBIの勧告に従うと言明している。

コーミー長官の発表から数時間後、クリントン氏はバラク・オバマ大統領と共に南部ノースカロライナ州シャーロットの支援者集会で登壇。2人ともメール問題には言及しなかった。

今回の大統領選で初めてクリントン氏と並んで登場したオバマ氏は、クリントン氏を信じているし、大統領にこれほどふさわしい人は男女を問わず今までいなかったと称えた。

クリントン陣営は長官の発表を受けて、「この件が解決して喜んでいる」とコメントした。また、すでに国務省報告で明らかになっているように、クリントン氏の私用メール使用は歴代の長官と同じだと指摘した。

クリントン氏はこれまでに議会公聴会などで、私用メールを使ったのは「間違い」と認め、「許されていたこととはいえ、アカウントを分けるべきだった」「申し訳ない」と謝罪していた。

「仕組まれてる」とトランプ氏

一方で、共和党関係者などは、自分には法律が及ばないとクリントン氏が考えていることの表れだなどと繰り返し強く批判してきた。

コーミー長官の発表を受けて、共和党の大統領候補になる見通しのドナルド・トランプ氏は「非常に不公平だ」と批判。ツイッターでは「FBI長官はずるい悪者ヒラリーが、この国の安全保障を危険にさらしたと言った。なのに不起訴だ。ワオ! この国の仕組みは仕組まれている」とツイートした。

ウェストバージニア州ローリーの集会でトランプ氏は、長官が「国全体を危険にさらし」おそらくハッキングされただろうと批判。「ひどい判断力だ」、「皆さん、最悪の大統領になりますよ」などと強調した上で、リンチ司法長官は不起訴にする代わりに留任させると約束を取り付けているに違いないと、収賄があったはずだと非難した。

ポール・ライアン下院議長(共和党)も、「理解不能」な判断だと批判。「国家安全保障の情報を見境なく扱い発信したクリントン長官を不起訴にするなど、とんでもない前例を作ることになる」と釘を刺した。

(英語記事 FBI recommends no charges against Hillary Clinton over emails)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/36721101

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