マイナス金利時代を生き抜く処方箋

2016年8月30日

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塩澤 崇 (しおざわ・たかし)

株式会社MFS 取締役COO。東京大学大学院情報理工学系研究科修了後、2006年にモルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。2009年にはボストン・コンサルティング・グループにて国内外の金融機関に対する戦略コンサルティングに従事。2015年よりMFS取締役COOに就任。住宅ローンとウィンドサーフィンをこよなく愛する男。

 住宅ローン債務者は全国で1200万人いますが、マイナス金利の影響で約半数の600万人が借り換えで100万円以上お得になると言われています。住宅ローン債務者は一度見直しをされてみてはいいのかも知れません。

 でも、借り換えるのであればどの金利がいいのでしょう?ネットで見かける情報は「固定金利が下がっているので、金利上昇リスクがない固定金利がお得」というものです。でも、それって本当なのでしょうか?そもそも、金利は今後上がるのでしょうか?

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「金利上昇=即、住宅ローンの金利上昇」のウソ

 銀行は住宅ローンを貸し出す際、ユーザーに貸し出す金利(適用金利)を下記の計算ではじき出します。

 適用金利=基準金利-引き下げ幅

 基準金利はここ20年ほど多くの銀行が2.475%を維持しています。でも、住宅ローンの適用金利が下がっているのは……そう、引き下げ幅を拡大しているからです。引き下げ幅はディスカウントだと思ってください。この引き下げ幅は融資時に確定し、完済まで維持されます。

 通常の感覚であれば、基準金利を引き下げて対応するように思えますが、なぜ銀行はそうしないのでしょうか? 基準金利の変更は銀行全体の収益に大きな影響を与えるからです。基準金利を下げると過去に借りた人の適用金利も下がりますし、基準金利を使用する法人向け融資も適用金利が下がります。そうならないように引き下げ幅をちょこちょこいじって、この20年間、金利低下局面に銀行は対応してきたのです。

 じゃぁ、金利上昇時はどうなるかって? まさにこの逆が起こります。引き下げ幅を徐々に縮小し、ゼロになるタイミングで基準金利が上がり始めます。変動金利を借りている人の月返済額が上がり始めるのは、実はそうなってからなのです。金利上昇するとすぐに返済額が上がるというイメージが強いですが、必ずしもそうではないということをご認識下さい。

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