BBC News

2016年11月2日

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イラク軍の特殊部隊が1日、過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が支配する同国北部の主要都市モスルの町外れに到達した。軍報道官は、前線を突破したと話している。

軍の精鋭部隊、テロ対策部隊(CTS)のサバ・アル・ヌーマン報道官は、「モスル中心部への前線を突破した。モスルに東から入る主要通過点の重要な地区を解放した」と述べた。イラク軍側に犠牲は出ていないという。

「この地区のISと激しく戦い、素早く犠牲者を出さずに解放した。ISに殺害され、処刑された多くの人たちの前で」と報道官は話した。

モスルはISにとってイラクに残る最後の主要都市拠点。

CTSはこれに先立ち、モスルに近いククジャリの東部地区に攻撃をしかけ、国営テレビの建物を掌握した。

特殊部隊に同行取材しているBBCのジョーン・ソーリー記者によると、部隊の兵士の多くはラマディやファルージャの戦闘にも参加した証拠の傷跡を残している。友人を失った兵もいれば、戦闘開始前に結婚したばかりの兵士もいる。

「兵卒から将軍に至る全員が、楽な戦いにはならない、数カ月はかかると話している」とソーリー記者は言う。「しかしモスル解放のためのこの戦いこそ、誰もが待ちわびてきたものだ」。

イラクのアバディ首相は先月31日、2014年6月からIS支配下にあるモスルには3000~5000人のIS戦闘員がいるとの見方を示した。同首相は戦闘員らに向け、「脱出はできない」、「投降するか、死を選ぶかだ」などと語った。

2週間前に始まったモスル奪還作戦には、イラク治安部隊約5万人、クルド人自治政府の治安部隊ペシュメルガ、イスラム教スンニ派の部族兵士、シーア派の民兵たちが参加している。モスルはイラク国内に残るIS拠点としては最大。

CTS部隊は31日早朝の攻撃で、モスル近郊の東部でモスルに最も近い村バズワヤを奪還。さらにククジャリ工業地帯に進攻した。

部隊は1日の日の出と共に再び進攻を再開し、モスル境界内にあるククジャリの住宅地に攻め入ろうとした。BBC特派員は、この時点までは部隊は誰も予想できかったほど勢いがあったと語った。

しかし、さまざまな方向からさまざまな武器による攻撃を受けているという。

ロケット弾(RPG)や機関銃、狙撃兵からの攻撃に対し、軍は重火器で反撃した。また米国主導の有志連合による空爆を要請した。

多くの市民もイラク軍に反応し、一部の人は白旗を振った。

CTSのサミ・アイルディ少将がAP通信に語ったところによると、1日午後には、部隊はより建物が密集したカラマ地域に近づいた。

アイルディ少将によると、IS戦闘員らは軍の進攻を止めるため、カラマに入る最も主要な道にコンクリート壁を設置し、爆弾を埋めているという。

その後、国営テレビの建物が掌握されるなか、CTSを率いるアブドゥル・ワッハブ・サイディ中将はククジャリ地区の大方は掌握されたと語った。

近隣クズ地区のある住民はロイター通信に対し、「(IS)戦闘員たちがイラク軍に向けて発砲し、近所の狭い道を車で移動するのが見える」と語った。

その後、イラク軍の共同作戦司令部は、第9機甲師団と第1師団がいくつかの村を掌握した後、南東のジュダイダト・ムフティ地区に入ったと発表した。

モスルが包囲されるなか、国連は市内にいるとみられる150万人の住民の安全確保について懸念を表明している。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は1日、ISが大量虐殺を行い、住民を強制移動させているとの新たな報告があったと述べた。

OHCHRのラビナ・シャムダサニ広報官によると、IS戦闘員らは、モスルの南にあるシュラ地区やハマム・アリルの町に近い村々で、元兵士40人を殺害し、チグリス川に遺体を捨てた疑いがある。

さらに、先月31日早朝には数十台のトラックやミニバスを使い、ハマム・アリルの住民2万5000人をモスル市内に移動させようとしたという。

これらの車両の多くは有志連合によって移動を阻止された。しかし、一部の車両はモスル国際空港のすぐ近くにあるアブ・サイフに到達している。

一方、トルコは1日に、戦車などの車両をモスルから北西100キロのイラク国境に配置した。

トルコ政府は、トルコ国内の少数民族クルド人の非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)がイラク北部で影響力を増すことを懸念している。

トルコ政府はまた、シーア派民兵がモスルの西にあるタル・アファルに攻め込もうとしているなかで、スンニ派のトルコ系住民を保護したいとしている。

(英語記事 Mosul battle: Iraqi special forces enter city

提供元:http://www.bbc.com/japanese/37843886

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