BBC News

2016年11月21日

バラク・オバマ米大統領は20日、来年1月の退任後も、必要があればドナルド・トランプ氏の次期政権に異議を唱えるかもしれないと表明した。米国では、退任した大統領が政治の議論に関わらないことが長年の慣例となっている。

南米ペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席したオバマ大統領は記者会見で、トランプ次期大統領を支援するつもりだし、トランプ氏が自らのビジョンを提示するまで、猶予を与えるとした上で、ひとりの民間人として、一部の問題については発言を続けるかもしれないと述べた。

オバマ大統領は、「大統領職に敬意を示したいし、誰かが意見を差し挟むことなく、次期大統領が自らの政策テーマや主張を推し進める機会が得られるようにしたい」と語ったが、「我々の価値観や理想が根本的に脅かされた場合、また、理想を守るため私が何かするのが必要、もしくはそうした方がいいと思う時には、その都度検討する」と付け加えた。

オバマ大統領は自らを、「我々の国を深く愛する米国市民」だと表現した。

オバマ大統領は、2008年に当選した後の政権移行時に、ジョージ・W・ブッシュ前大統領のチームから受けた職業上の敬意をトランプ氏のチームに対しても示したいとあらためて述べた。

退任後のブッシュ前大統領は、オバマ政権について意見を述べるのを避けてきた。オバマ大統領が2期目に入った2013年には、CNNとのインタビューでは、発言しても「何も良い結果につながらないと思う」と語った。

ブッシュ前大統領は、「大変な仕事だ。やらなくてはならないことがたくさんある。難しい。退任した大統領が(口出しをして)、それをもっと大変にする必要はない。違う方法を選んだ大統領たちもいるが、(発言しないことが)私の決断だ」と述べた。

ブッシュ前大統領が取った態度はこれまでの慣例に沿っていた。米国の大統領は総じて、過去の大統領や後任者の批判をするのを避けてきた。オバマ大統領は、任期中はトランプ次期大統領が決めたことを批判しないと明確にしている。

しかし、退任後には一市民として「核心的な価値観」を守るため行動すると示唆するオバマ氏の発言は、議会承認不要の政権ポストにトランプ氏が政治権限で任命している顔ぶれについて、人権団体などから懸念の声が上がるなかで出てきた。

トランプ氏が首席戦略官兼上級顧問に起用したスティーブ・バノン氏は、人種差別や反ユダヤ主義を擁護したと非難される右派オンラインメディア「ブライトバート・ニュース」の前会長。一方、安全保障政策担当の大統領補佐官に指名されたマイケル・フリン元国防情報局長は、イスラム教を米国を蝕む「がん」に例えたことがある。

トランプ氏が司法長官に指名したジェフ・セッションズ上院議員(アラバマ州選出)は、1986年に連邦判事に指名された際、人種差別発言を理由に上院に非承認とされている。

トランプ氏は大統領としての重責ゆえに、選挙中に主張していた極端な政策の一部を変更せざるを得なくなるだろうと、オバマ氏は述べた。

ヒラリー・クリントン前国務長官を候補にして大統領選を戦った民主党の敗北について質問されたオバマ氏は、選挙運動が「細分化された特定の集団」に焦点を当て、全国民に向けた働きかけをしていなかったことに批判的な態度を示した。

クリントン陣営は、クリントン氏を支持する傾向が強いと考えられていた中南米系(ラティーノ)や女性など、特定の集団に働きかけることに集中し過ぎて、より幅広い支持を得ようとする選挙運動を展開しなかったと批判されている。

オバマ大統領は、そのような取り組みでは「必要な幅広い支持を得られない」と述べ、民主党は有権者への「より賢いメッセージ」を作り出す必要があると指摘した。

(英語記事 Obama says he may comment as citizen on Trump's presidency

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38048642

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