イノベーションの風を読む

2016年12月24日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

フィットビットはナイキではない

 フィットビットで新規市場開拓を担当するウッディ・スカル(CBO:チーフ・ビジネス・オフィサー)は「我々はナイキではない」という。

スカル 我々はフィットネスを再定義することから始めました。フィットネス(運動によって健康を促進すること)もヘルスケア(健康管理)も特別なものではなく、生活のどこにでも存在します。例えば「腹筋を6つ(6パック)に割ろう」といった到達目標を決めて行うのではなく、日常的に旅をしているのだと考えるのです。生活の習慣を少し変えるだけで健康的な暮らし(ウェルネス)が可能になり、その積み重ねで大きな成果を得られるのです。フィットネスをハードなものとして考えると「それはできない」というものになってしまいます。フィットビットはナイキではありません。我々のミッションは、人々がフィットネスを楽しいものだと理解し、より活動的で健康的になることを手助けすることです。そのためにデータや「きっかけ」やガイダンスを提供します。

 誰もが活動的でありたい健康的でありたいと望んでいる。しかし人々は学校や仕事、そして家事や子育てに忙しい。他にやることがあって、望んだだけの運動ができないと諦めて(自分自身に言い訳して)いる。

 フィットビットの初期の製品は万歩計のような形状だが、歩数や階段を上った回数やカロリー消費などを細かく計測する。スマートフォンのアプリは転送されたデータを表とグラフで、どれだけ活動したかをわかりやすく表示する。

スカル 最初のアイデアは「どれだけ活動したかの情報を提供することによって、人々はもっと活動するはずだ」ということでした。初期の製品のユーザーから得たデータから、そのアイデアが正しいことがわかりました。その学びは非常に重要なことでした。エクササイズ(運動)はアスリートだけのものではありません。普通の人々の毎日を活動的にすることができれば、その生活のクオリティが向上します。病院の医師や健康管理のシステムにとっても、その人が毎日どのような生活を送っているかを知ることは非常に重要なことです。

 フィットビットのアクティブユーザーは、2015年末で1690万人(2014年末は670万人)で、登録したユーザーに対するアクティブ率は約60%だった。

スカル ヘルスケアシステムが日常的に(人と)つながっていることが重要です。我々はガジェットの会社ではありません。「人に接続されたハードウェア」「スマートフォンのアプリによって得られる体験」「個人とソーシャルのモチベーションツール」「アドバイスとヒントの提供」「パーソナライズされた理解とコーチング」で構成されるプラットフォームを提供します。

 フィットビットは、コミュニティの形成に力を注いでいる。コミュニティのユーザー同士で競い合い、励まし合い、そしてフィットビットからメッセージを送ることによってモチベーションを維持し高めてもらう。フィットビットは、人々が活動的になって、もっとエクササイズをして、スマートな食事と十分な睡眠を心がけ、体重の管理に気を使うようになってもらうためのプラットフォームだという。スカルは「ストレスの軽減は特に重要だ」と強調する。

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