マネーの知識

2017年1月7日

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青懸巣 (アオカケス)

金融アドバイザー

“投資運用のセカンドオピニオン” サービスを展開する株式会社クラフトの取締役。大手金融機関にて個人・法人向け資産管理業務を4年弱、国内外の機関投資家(プロの投資家)向け投資サービスで15年以上経験を経て、2014年に同社を立ち上げた。

 ESGを知っているだろうか? 投資や金融に興味があれば、ぜひとも関心をうながしたい。世界で急速に広まっており、2017年の投資テーマになる可能性も秘めている。

 ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の(英語の)頭文字を取ったもので、これらの3つを考慮した投資手法はESG投資と呼ばれている。

国連PRIから急拡大したESG

iStock

 今から10年ちょっと前(2006年4月)、ニューヨーク証券取引所においてアナン国連事務総長(当時)は「金融は世界経済を動かしているが、投資判断の過程で環境・社会・企業統治への考慮が欠けており、持続的な(経済に向けた)指針が必要」と説き、ESG(Environment・Social・Governance = 環境・社会・企業統治)課題を投資に反映させるべくPRI(Principles for Responsibility Investment = 責任投資原則)を提唱した。

 少し柔らかく説明すると「もっと持続的な社会に向けた経済の発展や事業の育成を、金融の仕組みで促そう!」と考えた国連が、PRI(責任投資原則)という6つの原則(守るべき規範)をつくり、世界中に賛同(=署名)を求めたのだ。

 そもそも近代の金融や資産運用では、数時間~数年の投資収益(ROI)を求めた投資が多く、それゆえに企業経営者その期間における株価リターンの最大化を株主に求められ、従業員は月間~数年単位で売り上げ・利益・利益率・ROE等の財務諸表の最適化を目指す。ただ、前述のように、それだけではなく、より持続的な社会や経済の発展に向けた取り組みとして、ESG課題についても取り組もう! という次第である。

 当初100社(総運用資産6.5兆ドル)だった国連PRIへの署名は、2016年4月末には1500社(総運用資産62兆ドル)まで広まり、ESGが投資分析・判断に欠かせない要素になったと言っても過言ではない。世界最大規模の年金基金である日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、ESG推進の一環として一昨年の9月に署名している。

 しかし、PRIへの署名は任意で原則にしたがうことを意味し、法的拘束力は無い。受託者責任と一致する事が条件でもあるので、運用パフォーマンスを犠牲にはできない。したがって、世界中でESG投資はまだ導入初期にあり、市場パフォーマンスのメインストリームになるのはまだこれから、とも言える。

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