中東を読み解く

2017年1月2日

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 今年も世界はテロで明けた。トルコ・イスタンブールのナイトクラブで1日未明、無差別銃撃テロが発生し、少なくとも39人が死亡、約70人が重軽傷を負った。トルコでのテロを呼び掛けていた過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行であることが濃厚。事件は向こう1年、世界がテロと紛争の脅威に揺さぶられるものになりそうな予感を暗示している。

テロの犠牲者を痛む親族(Gettyimages)

「恐怖と流血の日々に変えよう」

 それは新年になったばかりの1日午前1時15分ごろに始まった。欧州とアジアをつなぐボスポラス海峡に面したイスタンブール欧州側のオルタキョイ地区にある人気のナイトクラブ「レイナ」。ここにサンタクロースのコスチューム姿の襲撃犯が侵入し、カラシニコフで無差別に銃撃した。

 当時店内は、新年を祝うセレブの常連客、外国人観光客ら約600人で賑わっていたが、銃撃で客らは一瞬にしてパニックに陥った。一部は海に飛び込んで逃げた。トルコ当局は襲撃犯を1人としている。犯人は逃走中。襲撃犯はまだ息のある客らの頭を次々に撃ってとどめを刺すという残虐ぶりだった。死者のうち16人は外国人、と伝えられている。

 トルコ内相は「テロ」と断定、また米国家安全保障会議(NSC)の報道官もテロ攻撃と非難した。犯行声明は出ていないが、ISの犯行である可能性が限りなく高い。ISが西側の堕落した場所の象徴の1つとするナイトクラブを狙っていること、また客らを無差別に殺りくする手口は一昨年のパリ同時多発テロ事件を彷彿させるものだ。

 ただ、ISはトルコでのテロには犯行声明を出さないのが通例だ。ISは指導者のバグダディが直近の声明でトルコに対するテロ攻撃を呼び掛けたほか、同組織関連のニュース機関が数日前、年末年始の休暇を「恐怖と流血の日々に変えよう」と西側でのテロを促すメッセージを発信していた。

 このため米政府は昨年末、イスラム過激派がトルコ全土でテロを起こそうとしているとして、休暇シーズンの間、人の集まる場所などでの行動に注意するよう米市民へ警告を出していた。イスタンブールでは警官1万7000人がテロなどを警戒して警戒態勢につき、襲撃されたナイトクラブでも、この米国の警告を受けて、店の警備態勢を強化していたという。

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