2017年11月25日(土)

J-POWER(電源開発)

2017年1月20日

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 安定的かつ長期にわたって供給できる再生可能エネルギー「地熱」。エネルギー自給率6%の日本において、火山大国ならではの“純国産エネルギー”として期待が高まっている。白雪が舞い降りた宮城と秋田の山中で、地球と向き合い、対話しながら、その恵みを得ようと奮闘する男たちに出会った。文◎東嶋和子(科学ジャーナリスト)

41年前に誕生したJ-POWER鬼首地熱発電所。蒸気を吹き上げる生産井の佇まいに歴史の重みが感じられる。

次代のベースロード電源として世界の注目を集める「地熱」

 「ここだ! たしかに見つけたぞ。前進だ、友よ。地球の内部に向かって進むのだ」

 1864年、ジュール・ヴェルヌは小説『地底旅行』で、地球内部への空想の旅をした。16世紀の錬金術師が残した暗号をたよりに、鉱物学者のリンデンブロック教授らがアイスランドの火山の噴火口から地球の中心を目指して下降する。

 それから約150年。地球観は大きく変わった。私たちは、地球内部についての新たな知識を手に入れた。地球の恩恵を計画的に利用できるようにすらなった。

 地熱発電である。

 地球の中心へ、6000kmのトンネルを掘って降りていくとすると(実際は、太陽の表面ほどの高温や、地表の350万倍もの高圧に耐えねばならないので不可能だが)、地殻、マントル、液体鉄(外核)を通過する。やがて、約6000℃の鉄の固まり(内核)に到達する。

 この熱で溶けたマントルの岩石がマグマとなってのたうちまわり、地表に噴き出したのが、火山である。火山の下には「マグマ溜まり」があり、約1000℃の高温で岩石や水を熱して、高温の蒸気と熱水を閉じこめた「地熱貯留層」をつくることがある。

 現代の“リンデンブロック教授”は、この貯留層を見つけて発電に利用する。

 地下1kmから数kmのところに広がる地熱貯留層に向かって井戸(生産井)を掘り、高温・高圧の蒸気と熱水を得る。蒸気は勢いよくタービンを回して発電し、熱水は別の井戸(還元井)から地下の貯留層へ返す。要するに、火力発電所のボイラーの役目を、地球にやってもらうのだ。

写真を拡大 一般的な地熱発電の仕組み

 1904年、イタリアで世界初の地熱発電実験が成功して以来、地熱発電は、安定供給できる再生可能エネルギーとして注目されてきた。とくに近年、二酸化炭素を出さず、天候にも左右されず、供給をコントロールできるベースロード電源として、世界の熱い視線が注がれている。

 もちろん、110もの活火山を擁する日本列島に眠る膨大な資源にも。

設備更新でさらなる安定供給へ J-POWER鬼首地熱発電所

 宮城県大崎市鳴子温泉郷。江戸時代から湯治客に親しまれた「鳴子の湯」に、愛らしい「鳴子こけし」がたたずむ。紅葉の盛りを迎えた鳴子峡には、帷子雪が点描を添えていた。

 鳴子温泉から鳴子ダムを左手に、北へ約20 km。J-POWER(電源開発株式会社)の「鬼首地熱発電所」(出力1万5000kW)を目指す。一帯は直径9kmのカルデラの中に位置し、近くには国民保養温泉地の鬼首温泉がある。高さ15mもの熱湯を噴き上げる間欠泉は、地下に潜むエネルギーの威力を垣間見せる。

 「片山地獄」と呼ばれる標高530mの小盆地に、発電所はあった。冬空に白い蒸気が間断なく立ち上がる。

 「1975年の運転開始から安定的に発電して41年。日本では4番目に古い地熱発電所です」

 大柄な浅川直宏所長が、胸を張る。

 浅川さんは、火力発電所の設計から現場管理、保守・運用まで火力ひと筋のエンジニア。鬼首に単身赴任する前は、バイオマス燃料製造やごみ発電にも携わった。いま、35年の経験のすべてを鬼首に注ぎこんでいる。

 「鬼首は約40年にわたりほぼ毎年、設備稼働率80%以上を維持してきた優等生ですが、設備の経年化が進んでいます。そこで、2017年度に発電所をいったん廃止し、環境アセスメントの手続きを経て、最新鋭の設備に更新することで、さらなる効率向上を目指すことにしました」

 2023年度から運転開始予定という。