BBC News

2017年1月23日

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20日に発足したトランプ新米政権は、大統領を含めて幹部が相次ぎマスコミによる報道を攻撃している。21日にドナルド・トランプ氏自身が「マスコミとは戦争状態にある」と述べたほか、22日にはラインス・プリーバス首席補佐官が米メディアについて、「この大統領の正当性を損なおうとしている。ただ何もしないで座視するつもりはない」と述べた。

プリーバス補佐官はフォックス・ニュースに出演し、「マスコミは最初から、選挙結果をいかに不当なものにするか、その話ばかりしている」と述べ、新政権はそのような報道に対して「毎日、徹底的に戦う」と表明した。

トランプ大統領は就任翌日の21日、米中央情報局(CIA)本部を訪れ、自分はマスコミと戦争状態にあると述べ、記者というものは「地上で最も嘘にまみれた人間」に属すると非難した。

さらにトランプ氏はCIA本部で、大統領就任式の群衆は連邦議会議事堂前からワシントン記念碑までずっと続いていたと主張。しかし、ワシントン記念碑から撮影された現場の写真は、群衆がそのはるか手前で途切れた様子を写し出している。

新大統領は、テレビ映像や写真は不正確だと述べ、参加者は推定25万人という報道に強く反発。「150万人くらいに見えた」と述べた。

またショーン・スパイサー大統領報道官は初の公式記者会見で、「就任式の観衆としては文句なく過去最大だ。現場でも、世界中でも」と激しい調子で断定。「就任式への熱意を薄めようとするのは恥ずべき真似で、間違っている」と報道を非難した。

報道官は、就任式の人数について「誰も数字を持っていない」と述べながらも、「72万人がいた」とも発言した。

「代わりの事実」

大統領選の選対本部長だったケリーアン・コンウェイ上級顧問は、NBCテレビでスパイサー報道官の発言について質問され、「あれはalternative facts(代わりの事実)」だったと発言し、司会者に強く反論された。

NBC番組「ミート・ザ・プレス」で司会のチャック・トッド記者はコンウェイ氏に、なぜスパイサー報道官は最初の記者会見で「ほぼ確実に虚偽の内容を口にしたのか」と質問。これに対してコンウェイ氏は、「そのような言葉で報道官について話し続けるなら、あなたたちとの関係を考え直さないとならないでしょう」と返答。

トッド氏がさらにコンウェイ氏に回答を求めると、コンウェイ氏は報道官が提示したのは「代わりの事実」だと述べた。トッド氏はこれに対して、「代わりの事実は、事実とは違う。それは虚偽だ」と強く反論された。

コンウェイ氏はさらに「群衆の人数を本当に把握する方法はない」と強調。記者がこれに笑うと、「私を笑いたいならいくらでも笑えばいい。あなたが今そうやって笑ったのは、まさに私たちに対するマスコミの態度そのものだ」と強く反発した。

報道官発言について「代わりの事実だ」と答える前、コンウェイ氏はさかんに、マスコミがいかに新政権を不当に扱っているかと語り続け、米誌タイムの記者が、キング牧師の胸像が大統領執務室から撤去されたと誤って伝えた件を繰り返し取り上げた。タイム誌の記者はすでに誤報を謝罪している。

就任式の観衆の人数について、大統領や報道官の相次ぐ発言を受けて、多くの米メディアは2009年就任式の写真との比較などを根拠に、報道官発言を非難。米紙ニューヨーク・タイムズは報道官発言は「偽の主張」で、「新政権の幕開けに、強烈な中傷と非難をあらわにした」と書いた。

CNNやABCニュースも、スパイサー報道官の主張に対して、詳細な反証を展開した。

トランプ氏は22日、就任式の視聴者数について視聴者数は3100万人で4年前より1100万人多いと個人アカウントからツイートした。

市場調査会社ニールセンによると、就任式の中継を米国内で見た視聴者数は、オバマ前大統領やレーガン元大統領の1期目の就任式よりも少ない。オバマ氏の1期目の視聴者数は3770万人、レーガン氏の1期目は史上最多の4180万人。オバマ氏の2期目は2060万人だったという。トランプ氏の3060万人はカーター元大統領やニクソン元大統領に次ぐ、歴代5位。

トランプ氏はさらに、21日に世界各地で数百万人が新政権に抗議したことについて、まず「ついこないだ選挙をしたばかりだと思っていたが」「どうしてこの人たちは投票しなかったんだ」とツイート。その約1時間後には、「平和的な抗議はこの国の民主主義の大事な長所です」と論調を変えたツイートが発信された。


このほか政権関係者は22日朝、複数のマスコミに相次ぎ出演し、新政権の方向性について説明した――。

・コンウェイ氏はCBS番組で、近く撤廃される医療保険改革制度(オバマケア)に依存している2000万人は、新制度への移行中も医療保険の対象になると述べた。

・コンウェイ氏は、トランプ氏が「納税記録を公表するつもりはない」と繰り返した。

・プリーバス首席補佐官は、新大統領は最初の1週間、貿易と移民と安全保障の問題に集中すると述べた。

・トランプ氏と親しい実業家テッド・マロック氏はBBCに対して、北大西洋条約機構(NATO)は再編されるだろうと発言。NATOの欧州加盟国に、今まで以上に分担金の拠出を求めていくのは確実だろうと話した。

(英語記事 Trump team in fresh war of words with US media

提供元:http://www.bbc.com/japanese/38714591

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