チャイナ・ウォッチャーの視点

2017年3月1日

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小原凡司 (おはら・ぼんじ)

笹川平和財団特任研究員

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Jane’s、東京財団研究員などを経て現職。

 2017年2月12日、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「北極星2」の発射が、日本のメディアをにぎわせた。コールド・ローンチと呼ばれる、潜水艦が潜没状態でミサイルを発射する際に用いる発射方式を、北朝鮮がすでに獲得していることなども話題になった。

 また、2017年2月15日に、中国ロケット軍の宣伝動画が流れた時には、香港や台湾のメディアが、その意味について分析し、「トランプ大統領をけん制するものだ」等とも述べている。しかし、日本ではほとんど話題にもならなかった。

「衛星発射」が有する軍事的意味

 もちろん、実際に日本周辺で発射されたミサイルと動画のミサイルではインパクトが異なるし、中国は、北朝鮮に比較すれば、はるかに合理的に行動するだろう。現在の中国は、核兵器を恫喝の手段にしたりはしない。

 それでも、「宇宙開発」に対する日本人の感覚は、他国の感覚とは異なるように思われる。例えば、北朝鮮が行う「衛星発射試験」に関しては、日本でも、「弾道ミサイルの性能を向上させるものだ」という捉え方がされる。そもそも、ロケットと弾道ミサイルの違いは、運搬するモノの違いだけだ。衛星等を運搬するものがロケットで、弾頭を運搬するものが弾道ミサイルである。

 北朝鮮の「衛星発射」には神経をとがらせる日本であるが、中国が衛星を打ち上げても、危機感を持つ人は多くないようだ。公表されたものだけでも、中国は2016年に20基以上の衛星を打ち上げているにもかかわらず、である。

 一つには、中国はすでに大陸間弾道ミサイルの技術を確立しているので、いまさら、「衛星発射」に軍事的な意味が少ないという考え方があるように思われる。しかし、衛星の打ち上げは、弾道ミサイルの技術と連動しているというだけでなく、他にも重要な軍事的意味を有しているのだ。

習近平主席と会話する宇宙実験室「天宮2号」の乗組員ら
(「天宮」は5頁参照。写真:新華社/アフロ)

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