ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年7月4日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

優先的にとるなら牛乳・乳製品と卵

 昨年の7月にこのコラムをスタートさせた。1年を通して「健康にいい食事」も「健康に悪い食事」も、「食べ物」にあるのではなく「食べ方(食習慣)」にある、ということを伝えてきたつもりだ。しかし、それだと、話はけっこうまどろっこしくなる。先日、読者でもある知人から「先月の食中毒予防みたいに『1つだけ勧める食品』を教えてよ。ここだけの話」と問い詰められた。

 ここだけの話でなくてもいいのだが、「そういうニーズもあるのか」と改めて考えてみた。「これだけを食べていれば健康になれる」というわけではなく、栄養的に不完全な場合に「優先的に摂取したい」という食材ならあげることはできる。

 それは、牛乳・乳製品と卵だ。

iStock

 乳は「これだけで赤ちゃんが育つ」ことから考えてもわかるように、完全といってもいいくらいに栄養バランスが優れている(もちろん「完全食品」などはどこにも存在しない)。「牛乳はウシの赤ちゃんのためのもの」という人もあるようだが、それは「ヒトが食べてはいけない」理由にならないし、「栄養的に優れてはいない」根拠にもならない。牛乳は、私たちヒトにとっても、栄養的に相当に優れた食材である。

 乳製品の代表はヨーグルトとチーズ。バターは牛乳(ウシ以外の乳もあるが)の脂肪分だけを固めたものなので栄養的にはきわめて偏っている(おいしいけどネ)。バターは「油脂類」であって「乳製品」ではない。

 バターに比べてヨーグルトは「乳の栄養成分」がほとんど丸まま含まれている。また、ヨーグルトは、牛乳に含まれている糖分(乳糖)が酵素によって分解されてあるために、乳糖不耐症の人(牛乳を飲むとおなかの具合が悪くなる人)でも、心配なく飲める。また、牛乳に比べて水分量が少ないので、保存や持ち運びに便利。

 チーズは(ヨーグルト同様に)牛乳の栄養成分をほとんど含んであるにもかかわらず、ヨーグルトよりもさらに水分量が少ないため、牛乳の栄養素をきわめて効率よくとることができる。ただし、チーズは食塩含有量が高いので、多量に食べることはお勧めできない。塩分量が多いだけ、牛乳やヨーグルトに比べて保存性が圧倒的に高い。

鶏卵も牛乳同様に「優先して食べたい」食材

 卵(鶏卵)も、その栄養成分だけで受精卵がひよこまで育つのだから、相当に栄養バランスの優れた食材だといえる。イメージ的には、白身よりも黄身のほうが栄養素がたくさんあるかのように見えるが、大きな差はない。普通に両方ともを食べるのがよかろう。

 鶏卵は、卵を産む鶏に与えるエサの成分が、比較的すんなりと卵に反映される。栄養素だけではなく、黄身の色もエサに強く影響を受ける。たとえば、カロテン(黄色い色素)をたくさんエサとして与えると黄身の黄色い卵ができるなど。そのため、様々な特徴を持った、いろいろな価格の鶏卵が誕生することになる。しかし、「価格ほどに健康効果のある卵はない」というのが筆者の評価。普通の価格の普通の鶏卵をおすすめする。

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