2024年4月19日(金)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2017年8月1日

 しつこいようだが、前回の「優先的にとりたいものは牛乳・乳製品と卵」の第2弾。筆者は「牛乳とヨーグルト」そして「鶏卵」は、その栄養的価値だけではなく、食べやすさ(味覚も含む)・入手しやすさ(価格も含む)という観点から「三拍子そろったきわめて優れた食べ物」だと評価している。今回は、ビジネスパーソンがそれを購入する場合は「どんな鶏卵」「どんな牛乳」がいいのかをお伝えする。

(iStock/msheldrake)

鶏卵は「普通のもの」がいい

 牛乳とヨーグルトそして鶏卵は、食品を扱っている店舗であれば、お菓子やお酒販売店は除いて、ほとんどのお店に置いてあることから見ても、筆者だけではなく、多くの人がその価値を評価しているということになるだろう。また「牛から搾っただけ」あるいは「鶏が産んだだけ」というごく単純な食品であるにも関わらず、多くの種類が存在していることも、消費者のニーズが高く、かつニーズが多様化していることの証にもなるだろう。

 まず鶏卵だが、先月も書いたとおり、鶏卵はエサの成分が鶏卵の成分に大きく影響する。そのため、様々な特徴を持った、いわゆるブランド鶏卵が誕生することになる。たとえば、ビタミンAやEなどのビタミン類、あるいはヨウ素などのミネラル類をエサとして与えると、その成分を多く含む鶏卵ができる。ブランド鶏卵は付加価値がついているので、多くの場合、価格が高い。ただし、私が鶏卵を「優先的に摂取したい食品」として推薦する理由は、けっしてその付加価値にあるわけではなく、良質のタンパク質や脂質や、全体のバランスのよさにあるので、成分的に特殊で価格も高いブランド鶏卵を、私はとくにはお勧めしない。

 鶏卵の殻の色に関しても誤解があるようだ。鶏卵の殻の色は、基本的に親鶏の羽の色と同じことが多い。羽の色が茶色い鶏からは茶色い殻の卵が生まれる(白い鶏卵は白色の羽の鶏から生まれる)。そして、殻の色は違っても、鶏卵の栄養成分はほとんどといってもいいくらいに違わない。わざわざ殻が茶色の鶏卵を購入する必要はないだろう。

 また、ときどき店頭や道ばたの鶏卵自動販売機で「自然卵」あるいは「放し飼い卵」という表示を見ることがある(そもそも「自然卵」の意味がよくわからないが・・・・)。これも「よほど特別なもの(そういう鶏卵はほとんどないと思うが)」を除いて、そちら(自然卵や放し飼い卵)のほうが栄養成分が優れているというケースは少ない。

 結論を一言でいうと、鶏卵は「普通のもの」がいい、ということになる。ただし、味に関してはこの限りではない。味覚は個人の好みなので、「少しくらい高くてもブランド鶏卵が好き」という人は、どうぞお好きに。

 栄養成分だけではなく(これは一般論になるが)安全面でも、自然卵や放し飼い卵のほうが大規模に生産された鶏卵よりも、サルモネラなどに汚染されている可能性は高いだろう(賞味期限が短いはず)。ついでに述べると、一般にスーパーなどで販売されている鶏卵の場合、卵が納められている透明の卵ケースからは、調理する寸前までは出さないほうがいい。購入後、透明のケースから出して、冷蔵庫の卵を置く場所に移す人があるが、そちらのほうが安全性は落ちる。透明の卵ケースに入れたまま冷蔵庫に保管しよう。


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