ネット炎上のかけらを拾いに

2017年8月17日

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 フォロワー数が57万人を超える81歳の劇画原作者が「反省してます」とつぶやいた理由は。

(写真はイメージです istock/kazoka30)

きっかけは鱧のお吸い物

 お盆の迎え日である8月13日、『子連れ狼』など多数の漫画原作作品を持つ小池一夫氏が、ツイッター上で「昨日のツイート、反省してます」とつぶやいた。小池氏はフォロワー数が57万人を超え、そのつぶやきは数千回以上リツイートされることも少なくない人気の“つぶやき手”だ。とはいえ、ツイートが共感や感動を集める一方で、「説教っぽい」という指摘や、「ありませン」「大事な事なンだよ」など、ところどころに「ン」を交えるツイートが鼻につくという声も以前からあった。

 小池氏が反省ツイートをしたのは、前日12日のツイートが発端だ。12日の夕方、鱧の吸い物の画像とともにつぶやかれたのは下記のようなツイート。

 「食費にお金を若者はかけられないというが、それは、言い訳。今日のお昼ご飯、鱧のおすましだったけど、家人に聞いたら、実質何百円だって。骨切りした鱧も旬だから安いし、他の材料も残りものだしって。やれば出来る。やらないだけ」

 このツイートは16日時点で6900件以上リツイートされているが、多くの批判を集めた。批判している人から多く聞かれたのは、長時間労働で家事をする時間すらないことが現代の「貧困」といった指摘。また、吸い物だけに数百円をかけられるのは「贅沢」であるという指摘や、実際に料理をしているのは小池氏の妻なのに、小池氏が「やれば出来る」と言うのはおかしいのでは、という意見もあった。

 確かに、自炊料理を安く作るには、それなりのスキルと経験に加えて時間の余裕が必要だ。ひとり暮らしの場合、毎日コンスタントに自炊した上で工夫しないと、あっという間に食材が余ってしまうこともある。食材を腐らせるくらいなら、初めから500円程度ですむ外食や、180円のカップ麺ですませた方が安上がりだ。自炊に必要な水道光熱費だって若者の給料からすれば安いものではない。

 小池氏のような富裕層の高齢者が若者を腐した、ということも批判が膨れ上がった理由の一つだろう。ネット上では、「年代による断絶」を煽るような言説があふれている。将来を考えれば、どうしたって「年金が払い損になる可能性」にぶち当たる若者たちが、高齢富裕層に感じている恨めしさは強い。そこへ来て、「何百円の吸い物」というざっくりした表現で「安い」とは。それは200円なのか、400円なのか、600円なのか。その数百円の差を「誤差」と思っているからこそできる表現。正直、高級リゾートの写真とかを並べられるよりキツい。キツかった。筆者にとっては。

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