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2010年10月22日

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鹿野 司

1959年名古屋生れ。科学ライター。科学、コンピュータ、SF誌を中心に、コラム、インタビュー記事を執筆。映画,『ガメラ2』の科学考証なども手掛ける。現在、SFマガジン、NECのビジネス情報サイトWisdomなどにコラムを連載中。著書に、『サはサイエンスのサ』、『オールザット・ウルトラ科学』『狂牛病ショック』(共著)、『巨大ロボット誕生』『教養』(共著)などがある。

 2010年は、空前の3Dブーム。映画「アバター」のヒットもあったし、テレビメーカーの熾烈な商戦も続いている。近々、映像は立体が当たり前、という時代がまもなくやってくるかもしれない。
今回は、この3D技術を取り上げ、その歴史や、支えている科学をわかりやすく解説するとともに、ブームの現状と今後の可能性を考える。

  今年は3D映像にとって、節目の年と言っていいだろう。

 昨年暮れから公開されていた『アバター』が大ヒットして、映画館に足を運んで見る3D映画が国内でも広く認知されるようになったし、家電メーカー各社が3Dのテレビやカメラなどの製品の販売を始め、任天堂も3D表示ができるニンテンドー3DSを来年2月に発売すると発表した。

 こうしてみると、今はちょっとした3Dブームといえるのかも知れない。しかし、果たしてこのブームは、世界を変える時代のうねりとなるような性質のものだろうか。

 ブームというものは、あるキーワードのもとに、なんとなく似たものを一括りにして、わーっと盛り上げるところがある。だから、よく考えると全く関係ないものが色々混ざっていて、実体的には幻想でしかないという事もありがちだ。

 3Dブームにも、その気配を感じた人は多いだろう。そこで今回は、3Dの現状について、ある程度仕分けして考えてみたいと思う。

いまなぜ3D映画なのか

 劇場で見る3D映画は、歴史的には1950年代と1980年代にブームがあったけれど、どちらも数年で下火になって消えていった。

 その理由は、一つには、最初は物珍しくてある程度の耳目を集めても、すぐに映像がぴょいぴょい飛び出してびっくりさせるだけの、子供だましな作品が乱造され、飽きられたことがあった。

 また、「3D酔い」といわれる、乗物酔いのような不快感を感じる人が出てしまうことも、ブームを冷却する方向に働いた。

 しかし、こういう経験は、世代が代われば忘れられる。そのため、3Dには周期的にブームがやってくるという人もいる。

 実は、映像を3Dにみせる基本原理に関しては、現在も、過去のブームと本質的には何も変わっていない。

 しかし、それにもかかわらず、今回は過去のブームとは、ひと味違う状況がはじまっているようだ。

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