WEDGE REPORT

2017年12月21日

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石井孝明 (いしい・たかあき)

経済・環境ジャーナリスト

慶大経卒。時事通信記者、経済誌フィナンシャル・ジャパン副編集長を経て現在、フリーで執筆活動を続ける。アゴラ研究所の運営するエネルギー情報サイト「GERP」の編集も担う。

 「ウィーン」「ゴー」と発電用蒸気タービンの轟音が響く─―。2017年9月から稼働した新潟県三条市のグリーン発電三条O&Mのバイオマス発電所では、24時間、年320日程度稼働し、出力は約6300キロワット(kW)、約1万1000世帯分の発電を行う。

グリーン発電三条O&Mのバイオマス発電所(新潟県三条市)。県内から集めた間伐材が燃料となる (写真・WEDGE)

 バイオマス発電は主に木材を燃やして発電する再生可能エネルギーの一種。この発電所の注目点は、エネルギー源が「新潟県産の木材」であることだ。県内の山林にある枝や立ち木などの間伐材、製材所の端材をチップ状にして燃やし発電する。1日200トン程度の膨大な量が必要だが、燃料供給業者と県の森林組合とが木材調達に関する長期契約を結び、燃料は安定的に確保できる見込みという。洋食器や刃物などの金属製品を中心としたモノづくりの町に現れた発電所に、新しい産業として、地域の関心が注がれている。

 プラントの初期投資額は55億円で、売電収入は初年度13億円を見込む。再エネ普及のために導入され、国民の電力料金に上乗せして負担された資金から事業者に支払われるFIT(固定価格買取制度)により、1kWあたり32円(税別。間伐材などの未利用材、2000kW以上の価格)で電力会社に20年、買い取ってもらえる。

 この発電所にファンドを通じて投資するスパークス・グループの下妻友成氏は「あくまでも利益を出すための投資だが、結果として、新潟県の林業や雇用に役立つのはうれしい」と語る。スパークス・グループは、17年9月時点で、ファンドで資金を集め、総事業規模1478億円、発電所数24件の再エネ投資を行っているが、三条のプラントはバイオマスでは初の案件だ。同社はこの11月に目標規模500億円のブラウンファンド(稼働設備への投資ファンド)をつくり、再エネ投資を拡大する。同グループ社長の阿部修平氏は「バイオマス投資をはじめ再エネにはチャンスがある。地方の雇用をつくり、日本経済を循環型にする意義深い取り組みだ」と、ビジネスへの意欲を示した。

「バイオマス発電は間接的にだが、林業の促進や山林を守るために役立っている」と、林野庁林政部の玉置賢木材利用課長は現状を評価する。木材生産の過程で出る端材や用途が少なく山に放置されがちな間伐材の処理に、バイオマス発電は一役買っている。林野庁の調査によると間伐材は全国の山林で1割程度しか使われておらず、「供給余力は十分にある」(玉置課長)という。

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