Wedge REPORT

2017年12月21日

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石井孝明 (いしい・たかあき)

経済・環境ジャーナリスト

慶大経卒。時事通信記者、経済誌フィナンシャル・ジャパン副編集長を経て現在、フリーで執筆活動を続ける。アゴラ研究所の運営するエネルギー情報サイト「GERP」の編集も担う。

海外燃料に頼る 発電計画が急増

(注)2030年度の発電目標値は稼働ベース (出所)経済産業省のデータを基にウェッジ作成 写真を拡大

 そして新たな異変が生じている。沿岸部での大型のバイオマス発電計画が次々と発表されているのだ。FIT前の発電能力は231万kWだったが、16年3月末には認定分で601万kWに伸びた。さらに1年間で申請は急増し、17年3月末までに420件を超える認定がされ、1473万kWとなった。すべては稼働しないだろうが、政府が15年に決めた長期エネルギー需給見通しでは、30年にバイオマス発電は602万~728万kWが目標だったので、それを大きく上回る。

 駆け込み申請急増の理由は、今年4月から再エネの認定の要件が厳しくなったこと、また今年10月から輸入材など一般木質バイオマスの大規模発電(2万kW以上)の買い取り価格が1kWあたり24円(税別)から21円(同)に下がることが影響したためと見られる。

 火力発電所は、一度プラントを建設すれば運営費用の7割は燃料費になる。安い海外の木質燃料を使うと、現時点の計画ではFITで採算が取れてしまう。ただし、海外の燃料は供給の安定性に疑問があり、特にヤシ殻、パームオイルなどは、発展途上国が供給元で、原料を作る際の森林破壊の懸念や、供給の安定性に問題のある企業もある。燃料の価格変動など、調達リスクに苦しむ発電所が出てくるのではないか。環境保護のために脱化石燃料・再エネ重視のエネルギー政策は行われているのに、バイオマスが環境破壊につながるとしたら、本末転倒だ。

 FITで海外の木材燃料を使った発電が認められている理由は、これまでの地球温暖化問題の国際交渉で、途上国のバイオマス資源の利用が推進されてきたこと、また日本が加盟するWTO(世界貿易機関)の自由貿易を定めたルール上、内外の財の無差別の利用が、国の政策の原則となっているためだ。

 とはいえ、海外燃料への依存度が年々強まる中、国民負担によるFITの資金が、国内の山林ではなく、海外にどんどん流れていくことには違和感がある。

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