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2018年1月30日

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米連邦捜査局(FBI)のアンドリュー・マケイブ副長官(49)が29日、辞任した。ドナルド・トランプ米大統領はこれまで繰り返し、副長官が政治的に偏向していると非難を重ねていた。

米CBSニュースは、FBIに対する監察総監報告の発表に先立ち、クリストファー・レイFBI長官がマケイブ氏に辞任するよう圧力をかけたと伝えている。マケイブ副長官はそもそも、3月18日に退任予定だったとされる。

CBSによると、レイ長官は内部書類で、FBIは最高の基準に照らして活動しなくてはならないという監察総監報告を受けて、マケイブ副長官の辞任が必要だと書いているという。

29日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、レイ長官が監察総監報告の前に、副長官の降格も検討していたと伝えている。

監察総監報告がいつ公表されるのかは、はっきりしない。

ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は29日の定例記者会見で、「これはホワイトハウスによる決定ではない」、「この決定過程に大統領は関わっていない」と述べた。

なぜ重要なのか

マケイブ氏は昨年5月にトランプ氏が、当時のジェイムズ・コーミー長官を解任した後、しばらく長官代行を務めていた。

コーミー氏はFBI長官として、2016年米大統領選にロシアが介入した疑いの捜査を指揮し、ロシアとトランプ陣営とのつながりも調べていると下院で証言した。

コーミー長官解任後、トランプ氏はレイ氏を後任のFBI長官に指名した。ブッシュ政権の司法次官補などを経験していたレイ氏は、昨年8月に上院で承認された.

ワシントンを拠点とする米オンラインメディア「アクシオス」によると、レイ長官は最近、ジェフ・セッションズ司法長官にマケイブ氏罷免の圧力をかけられ、自ら辞任すると反発していたという。

マケイブ氏は連邦職員としての退職金と年金受給資格をすでに得たため、かねてから2018年の早い時期に退任する予定だったという。CBSニュースによると、今回さらに退任時期を早め、すでに有給休暇を消化中。

コーミー氏は29日、マケイブ氏辞任についてツイッターで、「アンドリュー・マケイブ特別捜査員はこの8カ月間、我々全員が頼みにする組織をつまらない連中がばらばらにしようとする間、堂々と立ち続けた。彼は20年にわたり、優秀に仕えた。アンディの今後を祝いたい。そして、残るFBIが引き続き、力強くあり続けるよう願いたい。アメリカには君たちが必要だ」とツイートした。

https://twitter.com/Comey/status/958145125120663553

トランプ氏は繰り返し非難

マケイブ氏の妻、ジル・マケイブ医師は2015年にバージニア州議会の上院選に民主党候補として出馬し、落選している。その選挙資金として、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏に近い政治資金団体から50万ドル(約5500万円)近い寄付金を受け取っていた。

トランプ氏はこれについて、マケイブ副長官を繰り返し非難し、ツイッターでも副長官を「コーミーの仲間」と攻撃した。昨年12月23日のツイートでは、「ヒラリー・クリントンへの偽捜査(違法に削除したメール3万3000通も含む)を、リーク屋ジェイムズ・コーミーと一緒になって指揮してたアンドリュー・マケイブFBI副長官が、捜査中に、妻の選挙戦に、クリントンの操り人形から70万ドルを受け取ってたって、どういうことだ?」と書いている。

https://twitter.com/realdonaldtrump/status/944665687292817415?lang=en

トランプ氏はさらにこの日、「FBIのアンドリュー・マケイブ副長官は、年金満額で退職できるまで、大急ぎだ。あと90日?!!!」と、マケイブ氏の在職残り日数を数えるようなツイートもしている。

トランプ氏は昨年7月には、「FBIのトップ代行でヒラリーの捜査の責任者、アンドリュー・マケイブは女房のためにHから70万ドルもらってるのが問題だ!」とツイートしていた。

23日付の米紙ワシントン・ポストによると、トランプ大統領の就任から間もなくマケイブ氏がホワイトハウスを表敬訪問した際、トランプ氏はマケイブ氏に繰り返し、大統領選で誰に投票したのかを問いただしたという。マケイブ氏は大統領の質問を異例のことと感じ、自分は投票しなかったと答えたと、複数の現職と元職の消息筋が同紙に明らかにしたという。

さらに、29日付の米NBCニュースによると、昨年5月にコーミー長官を解任した後、トランプ大統領はマケイブ氏に電話をかけ、なぜ解任されたばかりのコーミー氏が出張先のロサンゼルスからワシントンへ戻るのに、FBI専用機を使わせたのか詰問したという。消息筋によると、同じ通話で大統領は続いてマケイブ氏に対して、マケイブ夫人の落選をあてこすり、「負け犬になるのはどういう気分か」聞いてみるようにと告げたという。

利益相反があったのか

最近になって公表されたFBI関係者の内部メールからは、妻が民主党から出馬した以上、マケイブ氏はクリントン氏の私用メール問題捜査から身を引くべきだという意見が、FBI内にもあったことがうかがえる。

2016年10月28日のやりとりで、FBIのピーター・ストローク捜査員が同僚のリーサ・ペイジ捜査員に、FBIの首席補佐官は「『見られ方』の問題があるから、アンディ(マケイブ氏)は捜査から身を引くべきだと、100%確信している」と書いている。

マケイブ氏は結局、同年11月8日の大統領選の1週間前に、クリントン氏関連の捜査から身を引いた。

共和党が主導する上下両院の委員会は、FBIによるメール問題捜査について調査を開始し、FBIがクリントン氏をひいきしたかどうかを調べている。

これに対して民主党は、ロバート・ムラー特別検察官が率いるロシアとトランプ陣営の結託疑惑捜査から、世間の目をそらそうとしているだけだと反発している。

(英語記事 FBI deputy director Andrew McCabe quits ahead of agency review

提供元:http://www.bbc.com/japanese/42868639

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