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2018年4月11日

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世代を超えて日本の読者を楽しませてきた角野栄子さんの「魔女の宅急便」が、児童文学における最高峰の名誉に輝いた。今年3月、角野さんは「小さなノーベル賞」とも言われる国際アンデルセン賞を受賞した。

国際児童図書評議会のパトリシア・アルナダ選考委員長は角野氏の作品を、深く日本文化に根ざしており、「言い尽くせないほどの思いやりと情熱がある」があると説明した。

代表作「魔女の宅急便」は、角野さんの娘が描いた魔女の周りを音符が飛び回っている絵から着想を得たという。角野さんは受賞後の記者会見で、「主人公を当時の娘と同じ12、13歳に設定しました」と語った。

「子供と大人の間の年齢で、揺れ動きを抱えている子がたった一つ持つ魔法で空を飛んでいくのが『魔女の宅急便』です」

遅咲き

角野さんは東京で生まれたが、第2次世界大戦中、10歳の頃に疎開した。戦後は国内の大学に進学したあと、数年をブラジルで過ごした。「トンネルの森 1945」や「ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて」には、こうした彼女の体験が反映されている。

角野さんは、自分の作家としての出発は遅かったと語る。最初の本は彼女が35歳の時に出版された。

「若いころは書く人ではなく読む人で(中略)やっているうちに、もしかしたら自分はものすごく書くことが好きなんだ、ということに気づいたんです」

「もし本にならなくても、一生書き続けようとそのとき思いました」

これまでに発表した作品は200点近く。絵本や児童文学に加え、エッセイなども手がけた。しかし、最も有名なのは間違いなく「魔女の宅急便」だ。

銀幕へ

「魔女の宅急便」シリーズの第1作は1985年に発表された。ほうきに乗る魔女キキの成長を描く物語だ。

第1作では、13歳のキキが独り立ちのためにとある町を訪れ、相棒の黒猫ジジと喜び悲しみを共にしながら、町の人たちに受け入れられるようになるまでの1年が描かれている。

シリーズは全6作品で、最後にはキキは2児の母になる。シリーズは日本だけで170万部近くを売り上げ、現在9カ国語に訳されている。

また、スタジオ・ジブリによってアニメ化され、宮崎駿監督の代表作のひとつとなった。

「魔女の宅急便」がここまで愛される理由は何だろうか?

福音館書店で角野さんの担当編集を務める保延智子氏はBBCに対し、「この作品は、子供たちにひとりひとりが魔法を持っていると信じさせてくれます」と語った。

「児童文学は、子供たちに自分もできると思わせる力、大人になる力を与えてくれます」

保延さんは、角野さん自身もこうした魔法を持っていると話す。

「魅力的な魔女のようにチャーミングな方です。お茶目で子供っぽいところもあるし、お喋りが大好きで、体力、元気がものすごい」

「担当になって、角野さんの元気に追いつくようにがんばらないといけないと思いました」

言葉が力になる」

国際児童図書評議会が主催する国際アンデルセン賞は、「長らく子どもの本に貢献してきたと認められる、現存する作家および画家の全業績に対し」て2年ごとに贈られる。

受賞時の記者会見で角野さんは「この賞をいただけるとはまったく思っていなかった」と話した。

「世界の人々に読んでいただけて、この賞をいただけたことは本当に大きな喜びです」

その一方で、自身の作品は読者のものだと話す。

「読んだ時からその方の物語に変わり、読んだ人の力と相まって広がっていくのが物語の素晴らしいところです」

「読んで読んで読むことで、その人の中にその人の辞書ができていく。その言葉はその人が生きてく上でとても力になると思います」

(取材: 白石早樹子、イベット・タン BBC)

(英語記事 The 'good witch' who wrote a Japanese children's classic

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43724065

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