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2018年6月20日

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アンドレアス・イルマー記者 BBCニュース

白熱したサッカー・ワールドカップ(W杯)の試合後、熱狂の中にあるスタンドはいつも残飯やコップ、包み紙などが散乱している。

19日、W杯ロシア大会での初戦で日本代表はコロンビアを2対1で下し、南アメリカのチームに初めて勝利した。日本のファンには狂喜乱舞する十分な理由があった。

しかし日本代表がグラウンドでコロンビア代表をきれいに片付けた後、ファンも同じことをした。自分たちが座っていたスタジアムの座席を念入りに掃除し始めたのだ。

持ち込んだ大きなゴミ袋を手に列の間を歩き回ってごみを拾い、開場時と同じくらいきれいにしていった。

こうしたことは今回が初めてではない。「サムライ・ブルー」のサポーターたちは、いつでも良いマナーを守り続ける。

英国人のクリストファー・マケイグさんはツイッターで「今のところW杯で一番好きな場面は、日本がコロンビアに勝った後、日本のファンがごみを拾っていたこと。この試合で私たちが学べること。日本を応援する理由」と話した。

在トリニダーゴ・トバゴ・カナダ大使館のレスリー・アン・ボワッセイユさんも、「日本のファンが、W杯の試合後に座っていたところを掃除している。すばらしいお手本。なんて素晴らしい! よくやった日本」と書いた。

日本に住むスポーツジャーナリスト、スコット・マッキンタイヤさんはBBCの取材に対し、「これはサッカー文化だけでなく、日本文化の一部だ」と説明した。マッキンタイヤさんは日本チームの取材のためロシアを訪れているが、サムライ・ブルーのサポーターの一風変わった気質も意外ではないと言う。

「サッカーは文化の鏡だという言う人がいる。何もかもが清潔に保たれているのは、日本社会の重要な一面だ。あらゆるスポーツイベント、もちろんサッカーでもこのことが言える」

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掃除は幼少時代からの習慣

日本での試合を見に来た外国人にとって、ファンの掃除は意外な光景のひとつだ。

マッキンタイヤさんは、「スタンドの床にペットボトルや食べ物のパッケージを置いていこうとすると、日本人に肩を叩かれ、ごみは置いていってはいけない、片付けるか家に持って返るべきだと諭されることがある」と話す。

日本人は幼い頃から、掃除の習慣を教え込まれる。

「サッカーの試合後の掃除は、学校で習った基本的な習慣の延長だ。子どもたちは教室や廊下を掃除する」と、大阪大学のスコット・ノース人間科学教授は説明する。

「幼少時代に定期的に覚えこまされることで、多くの日本人の習慣になっている」

試合後の掃除の光景が、ソーシャルメディアで何度も話題になっていることについて、日本のサポーターはもちろん誇らしく思っている。

ノース教授は、「日本のサポーターは掃除とリサイクルの必要性を高く意識しているだけでない。W杯のようなイベントで実践することで、自分たちの生き方への誇りを形にして示し、我々とシェアしている」と指摘した。

「責任感をもって地球を守る必要性を表明するのに、W杯以上の場所はない」

だからといって、日本人に情熱がないというわけではないとマッキンタイヤさんは話す。情熱があっても、基本的な振舞い方を忘れたり、ましてや暴力につながることはないのだ。

「当たり障りがなく退屈に聞こえるかもしれないが、これが尊敬と礼節をもとに作られたこの国の現実」とマッキンタイヤさんは笑う。「それがサッカーの場にも及んでいるだけだ」。

「W杯でさまざまな国や人々が一堂に会し、こうしたことを学び合えるのは素晴らしい。これがサッカーの良いところだ」

(英語記事 Japan fans tidy up World Cup stadium

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44544399

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