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2018年7月26日

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米与党・共和党の下院議員たちは25日夜、2016米大統領選に関するロシア疑惑について捜査を指揮している司法省の副長官解任に向けて、弾劾決議案を下院に提出した。ロッド・ローゼンスタイン司法副長官は、ロバート・ムラー特別検察官をロシア疑惑捜査に任命し、捜査の進展を主導している。

下院共和党のマーク・メドウズ議員(ノースカロライナ州選出)、ジム・ジョーダン議員(オハイオ州選出)が、司法副長官の弾劾決議案を議会事務局に提出した。ロシア疑惑捜査の進捗(しんちょく)について議会の問い合わせに一切答えようとしないと副長官を批判し、弾劾の理由にしている。司法省は、議会排除の事実はないと反論している。

弾劾決議案が成立するには、下院の過半数に加え、上院では3分の2の支持が必要。上院(定数100)は現在、民主党議員が47人を占めるため、決議案が成立する見通しは少ない。

ローゼンスタイン氏とは

連邦検事出身のローゼンスタイン氏は、2017年4月に副長官に就任した。トランプ政権発足後、ロシア当局者との接触を問題視されたジェフ・セッションズ長官が捜査への関与を忌避したため、ローゼンスタイン副長官が司法省トップとして捜査を指揮する立場になった。

2018年5月にドナルド・トランプ大統領が連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー長官を電撃解任した際には、ホワイトハウスはローゼンスタイン氏が書いた文書をその根拠にした。一方で、ローゼンスタイン氏はそれから間もなく、ロシア疑惑捜査主導にムラー特別検察官を任命した。

ロシア疑惑とは

複数の米情報機関は、ロシア政府が民主党のヒラリー・クリントン氏が大統領に当選しないよう、サイバー攻撃やソーシャルメディアに偽情報を流すなどの手段で、2016年大統領選に組織的に介入したと結論している。

特別検察官の捜査によって、これまでに32人が正式起訴された。トランプ陣営関係者4人と、ロシア人25人が含まれる。

司法省は今月初め、大統領選の渦中で民主党本部のコンピューターやクリントン陣営幹部のメールをハッキングした罪で、ロシア情報当局者12人を起訴した。

ローゼンスタイン副長官は、ロシア介入によって「得票数や選挙結果が変わった」という証拠は一切ないと強調したが、フィンランド・ヘルシンキでの米露首脳会談の直前に発表されたため、首脳会談実施に反対する声が共和党内からも上がった。

トランプ大統領は、ロシアによる選挙介入の有無については発言が二転三転している。自分の陣営幹部がロシア当局と結託していたという疑惑については、「結託はまったくない」と一貫して反論し、ムラー特別検察官の捜査を「魔女狩り」と繰り返し非難している。

ロシアも一貫して、大統領選に介入していないと疑惑を否定している。

トランプ氏支持者の間にはかねてから、ムラー検察官やローゼンスタイン副長官の解任を求める声が強く上がっていた。トランプ氏も昨年夏の時点で、ムラー氏を解任しようとしていたと報道されている。

BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、共和党幹部のポール・ライアン下院議長をはじめ多くの共和党議員は、弾劾決議案の成立を望んでいないと指摘する。副長官の「弾劾・解任を本格的に求めれば、党が引き裂かれてしまうと分かっているからだ」とザーカー記者は言う。「ただし、ムラー氏のロシア疑惑捜査が速やかに進むことを期待する人は、安心できない。弾劾決議案を提出されたローゼンスタイン氏は、問題が多すぎて職務を遂行できないと、大統領が主張し、特別検察官の権限を制限する後任に交代させることもあり得る」と記者は書いている。

(英語記事 Republicans launch bid to impeach US deputy attorney general

提供元:https://www.bbc.com/japanese/44962106

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