WEDGE REPORT

2018年8月16日

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加谷珪一 (かや・けいいち)

経済評論家

 東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立。著書に『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)等多数。

 

 コンビニ最大手のセブン-イレブンが100円ビールのテスト販売を開始したところ、あまりにも反響が大きく中止を余儀なくされるという異例の事態となった。同社がここまで神経質になったのは、コンビニという存在があまりにも大きく、消費生活への影響が甚大だからである。

(lightkey/iStock)

 他の業態と比較してコンビニの店舗数は突出している。業界トップであるセブンの店舗数は2018年2月時点で2万店舗を超えている。ファミリーマートは約1万7000店舗、ローソンは1万4000店舗なので、大手3社で5万以上の店舗を構えていることになる。これだけ店舗があると、ごくまれにしか発生しないようなトラブルでも、全体ではかなりの数になってしまう。最大手であるセブンが神経質になるのも無理はない。

 ボリュームが大きいビジネスであるということは、コンビニ業界を分析する上で、もっとも重要なポイントのひとつといってよいだろう。

 コンビニ各社は、多数の店舗を効率良く運営するためフランチャイズ(FC)制度を導入している。先ほどセブンは全国に約2万店を展開していると述べたが、この中で直営店舗となっているのはわずか500店舗程度であり、それ以外の店舗にはすべて独立したオーナーが存在している。各店舗のオーナーは、FC加盟店として本部にロイヤリティを支払う代わりに、チェーンの看板を使わせてもらえ、仕入れなどで支援を受けることができる。つまりコンビニ・チェーンを運営するセブン&アイ・ホールディングスと大半のセブン各店は別経営というわけだ。

 メディアなどでセブン&アイ・ホールディングスの業績が好調という話が報じられたとしても、それはあくまで本体の業績であって、各店舗の売上高や利益とは直接一致しない。

 例えば2018年2月における同社の売上高(営業収益)は6兆378億円、営業利益は3916億円だった。これはイトーヨーカ堂や海外部門などを含んだ数字であり、国内コンビニエンス部門の業績は、売上高(営業収益)が9286億円、営業利益が2452億円となっている(これは決算短信や有価証券報告書のセグメント情報、決算補足資料などで確認できる)。

 しかしながら、この数字は店舗の売上高を直接的に示しているわけではない。同じ決算期におけるセブン-イレブン全店舗の売上高は4兆6780億円に達する。本部とフランチャイズ各店の契約内容は様々だが、基本的には各店舗の粗利益(売上総利益)の一定割合を本部に支払う形となっている。各店から徴収したロイヤリティを積み上げた数字がセブン&アイ・ホールディングスの国内コンビニ部門の売上高となる。

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