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2018年8月16日

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加谷珪一 (かや・けいいち)

経済評論家

 東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立。著書に『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)等多数。

 

 各店舗の売上高が増えれば、各店舗の粗利益も増加するので、結果的に本部の業績も拡大する。一方で、フランチャイズ各店との契約内容を見直して、本部に有利な形にしたり、逆に店舗側に有利にしたりといった措置も可能となる。FC制度を採用している企業の場合、本体の業績をよくするため、あるいは逆に各店舗を支援するため、FC契約を変更するケースがあるので注意が必要だ。

 いずれにせよ、コンビニ業界を見る上でもっとも注目すべきなのは、各店舗の売上高の推移である。売上高は単純な情報ではあるが、事業の様子を端的に示す数字といってよい。店舗の売上高が順調に伸びているのであれば、その企業の経営状況はまずまずと判断できる。

 セブンの場合、18年2月期における全店売上高は前期比で3.6%伸びているが、本体のコンビニエンス部門の売上高の伸びも3.0%なので両者は近い水準となっている。店舗の売上高の拡大が本体の売上高に反映された形だが、営業利益は0.5%しか伸びておらず、本体のコストが増えたことを伺わせる。一方、海外部門を含んだ全社の営業利益は伸びているので、今回の好決算は海外部門が支えたとみて差し支えない。

 決算を取り上げたメディアの記事をを見れば、たいてい「海外部門が利益を牽引」といった解説が加えられているが、自分自身で数字を確認することで、より具体的にイメージできるはずだ。

 全店舗の売上高が把握できると、競合他社との比較も容易になる。全店売上高を店舗数で割れば各店舗の平均年間売上高が計算できるのだが、セブン-イレブンの1店舗あたりの年間売上高は2億3000万円に達する。ちなみにファミリーマートは約1億7500万円、ローソンは1億5400万円しかない。

 セブンが長きにわたってナンバーワンであり続けられた最大の理由は、このケタ外れの収益力である。

 一般的に、セブンは商品力が高く、これが店舗の収益に貢献しているといわれるが、収益力の源泉は店舗の立地と来客数にある。

 セブンの1日あたりの平均来客数は1054人だが、ローソンは819人となっている(来客数については、会社プロフィールや決算補足資料などで確認できる)。来客数が多ければ廃棄ロスのリスクが減少するので、総菜類や弁当など利益率の大きい商品を思い切って投入できる。

 実際、チルド惣菜で比べてもファミリーマートは40種類、ローソンは72種類あるが、セブンーイレブンは136種類を展開している。結果的にこれが商品力の違いとなって表面化してくるのだ。 

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