世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年9月24日

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 2015年3月、イランの支援するホーシー派の反乱が国際的に承認されたハディ政権を首都から追い出し、サウジに亡命させたのを受け、サウジ率いるアラブの連合軍が、この反乱を敗北させるべくイエメンに介入した。これによりイエメン戦争が始まり、現在も継続中である。戦争は、重大な人道的危機を引き起こしている。

(jackmalipan/icholakov/AntonioGuillem/iStock)

 国連の報告書によれば、サウジの空爆は文民目標を繰り返し攻撃しているという。米国製の爆弾も文民殺害に用いられている。最近のHuman Rights Watchの報告書は、「サウジなどの連合の行う調査が不十分で、戦争犯罪の隠蔽になっている」と非難するとともに、「サウジに武器を売却している米英仏は違法行為への加担のリスクを負う」と警告する。

 8月28日付けニューヨーク・タイムズ紙社説は、これらの国連の報告書とHuman Rights Watchの報告書を重視し、米国はサウジへの武器供給を止めるべきである、と主張している。同社説は、「サウジとその同盟国は子供を殺してもほとんど良心の痛みを感じていないから、殺害能力を付与している者がやめさせるしかない」、「トランプ大統領がサウジに圧力をかける可能性はないが、軍人は声を上げており、議会も行動し始めた。国防政策法案は、ポンペオ国務長官がサウジなどの連合が文民の死を防ぐ措置をとっていると認定をすることを要求する超党派の規定を含んでいる」、「次の行動は、サウジがイエメンへの攻撃停止の話し合いを行う用意を示すまで、サウジへの軍事援助を停止することであろう」と言う。(‘Why Are U.S. Bombs Killing Civilians in Yemen?’, New York Times, August 28, 2018)

 しかし、イエメン戦争が作り出している人道的危機が、どう終結するのか、全く見通しが立たない。サウジなどが支持するハディ政権側が、イランが支援するホーシー派の反政府勢力を敗北させられれば、一つの解決にはなるが、サウジがホーシー派を攻撃するために空爆などを始めてもう3 年になる。戦況は最近の紅海に面する港・フダイダ攻撃に見られるように、サウジなど連合軍と政権側に多少有利に展開しているように見えるが、ホーシー派側もサウジのリヤド国際空港や王宮に向けてミサイル(イラン供給か?)を発射する、紅海のサウジ軍艦にミサイル攻撃を加えるなどしている。戦場での決着がつくのを待っていては、ひどい人道的危機が継続してしまうことになる。停戦交渉、さらに和平交渉を早急に始めるべきであろう。

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