ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2018年11月8日

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佐藤達夫 (さとう・たつお)

食生活ジャーナリスト

1947年5月30日、千葉県千葉市生まれ。1971年北海道大学水産学部卒業。1980年から女子栄養大学出版部へ勤務。月刊『栄養と料理』の編集に携わり、1995年より同誌編集長を務める。1999年に独立し、食生活ジャーナリストとして、さまざまなメディアを通じて、あるいは各地の講演で「健康のためにはどのような食生活を送ればいいか」という情報を発信している。日本ペンクラブ会員、女子栄養大学非常勤講師(食文化情報論)、食生活ジャーナリストの会事務局長。主な著書共著書に『食べモノの道理』(じゃこめてい出版)、『栄養と健康のウソホント』(一般社団法人家の光協会)、『これが糖血病だ!』(女子栄養大学出版部)、『安全な食品の選び方・食べ方事典』(成美堂出版)、『野菜の学校』(岩波書店)、『新しい食品表示の見方がよくわかる本』(中経出版)ほか多数。講演活動では、「あなたはなぜやせられないか?」「生活習慣病は自分で治す」など肥満や糖尿病のメカニズムや、「健康長寿のための食事と生活」という食生活と健康にまつわる最新情報を、医師の視線ではなく、一般の人にわかりやすいことばで提供する。あるいは、健康を保つ上で欠かせない技術としての「安全な食品の選び方」や「食品表示の見方」あるいは「健康にいい野菜の栄養情報」を、やさしく解説する。また、長年、女性雑誌を編集してきた立場から、「男性の家事が社会を変える」「中高年からの二人暮らし」などのテーマで、男性の家庭内自立を説く。

通風は「おじさん=中高年の男性」に多い病気だが、近年、若い男性や女性にも増えてきているようだ【https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0052/G0000210/0010】。そういえば、筆者の周囲でもまだ30歳代なのに「痛風を気にしている」というビジネスパーソンにたびたび出会うようになった。その予防策としては「ビールを避けるようにしている」という人が多い。その対策は本当に正しいのだろうか?

(taka4332/iStock/Getty Images Plus)

ビールのプリン体はそれほど多いわけではない

痛風の本態(本当の姿)は、血液中の尿酸量が基準を超えて増えている状態=高尿酸血症である。高尿酸血症の状態が長期間続くと、血液中に尿酸の結晶が生じ、これが体の各部を傷害してさまざまな疾病を引き起こす。

痛風の直接的な原因となる尿酸はどこからくるのだろうか? 尿酸は、体内でプリン体が代謝された(分解・利用された)結果に生ずる。そのため、痛風を気にする人はこのプリン体にビクビクしているはず。

プリン体というのは、ほとんどの細胞(の中の核酸)に存在している物質で、うま味の元ともいわれている(プリン体が多いといわれている物においしい物が多いのもうなずける)。細胞分裂に深く関わる物質で、分裂を盛んに行なうレバー類や魚卵類にはプリン体が多く含まれる。

多くの人は「プリン体が多い」といってビールを気にするが、ビールはそれほど多くのプリン体を含んでいるわけではない。比較すると、他のアルコール飲料(ウイスキーや焼酎や日本酒やワインなど)よりはビールのほうがプリン体をやや多く含むのだが、痛風の主たる原因となるほどの量ではない。逆にいうと、痛風を気にする人が、ビールを飲む代わりに「プリン体ゼロの発泡酒」や先ほどあげた「他のアルコール飲料」を飲んだとしても、意味のあるような効果は生じない。アルコール飲料から摂取するプリン体の量よりも、私たちの細胞の中にあるプリン体の量のほうがはるかに多いからだ。

同じことは、飲料だけではなく、食べ物のほうにもいえる。飲み会で「おつまみとしてピッタリ」の魚卵類やレバー類だけを避けても、体内のプリン大量にそれほど多くの影響を与えはしない(それだけを大量に食べれば別だが・・・・)。

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