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2018年10月31日

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ドナルド・トランプ米大統領は30日、銃撃事件のあったペンシルベニア州ピッツバーグのユダヤ教礼拝所(シナゴーグ)を訪れ、犠牲者11人を追悼した。周辺では数百人が、大統領こそ米国内で不寛容と憎悪をあおっていると抗議した。

大統領にはメラニア夫人のほか、娘婿でユダヤ教徒のジャレッド・クシュナー上級顧問とその妻で大統領の長女、イバンカ大統領補佐官も同行した。イバンカ氏はクシュナー氏と結婚する際に、ユダヤ教に改宗している。ユダヤ教徒のスティーブ・ムニューシン財務長官も一緒だった。

大統領一家がシナゴーグを訪れると、ジェフリー・マイヤーズ師が迎え入れた。外に用意された慰霊碑にメラニア夫人が花束を手向け、犠牲者1人1人の名前を刻んだ墓標にトランプ氏はひとつずつ小石を載せた。

ピッツバーグ訪問に先立ち、大統領はユダヤ人差別を非難した。容疑者はトランプ氏の支持者ではなかった。

なぜ抗議が

ロイター通信によると、トランプ氏のピッツバーグ訪問に抗議して約2000人が市内を行進し、銃撃被害に遭った「生命の木」シナゴーグ」へと向かった。

AP通信によると、大統領の車列がピッツバーグ市内を通ると、沿道で大勢が侮蔑的ジェスチャーを大統領に向けた。

トランプ氏がシナゴーグに到着すると、近くに集まった人たちが「ヘイト(憎悪)大統領、この州を出て行け」、「言葉には意味があるんだ」などと繰り返し叫んだ。

「私たちが作るのは橋で、壁じゃない」、「トランプ、白人国家主義をただちに否定しろ」、「トランプのうそは人を殺す」などというプラカードもあった。

赤ちゃんを抱きかかえて、大統領に「あなたなんか呼んでない」と叫ぶ人もいた。

大統領を批判する人たちは、トランプ氏がイスラム教徒を中心に移民を攻撃してきた言動によって、米国で白人至上主義やネオナチの活動が勢いづいていると指摘する。

ピッツバーグのビル・ペドゥート市長(民主党)やユダヤ教コミュニティの中心的人物たちが、大統領の訪問に反対した。

大統領が「白人国家主義を完全に否定・非難しない限り」、ピッツバーグに「歓迎しない」という内容のユダヤ教指導者たちによる公開書簡には、7万以上が署名した。

連邦議会上下両院の共和党と民主党の院内総務は、ピッツバーグへ大統領と同行するようホワイトハウスに招待されたが、4人とも辞退した。

ホワイトハウスは、乱射事件に対する大統領の責任を一切否定している。

葬儀と支援相次ぐ

大統領の訪問に先立ち、30日には犠牲者4人の葬儀が行われた。

54歳と59歳の兄弟、デイビッド・ローゼンソールさんとセシル・ローゼンソールさんの葬儀では、マイヤーズ師が「2人はまさに『純粋な魂』そのものだった」と追悼した。

ダニエル・スタインさん(71)とジェリー・ラビノウィッツさん(66)の葬儀も執り行われた。

ラビノウィッツ氏は医師で、HIVに感染した同性愛者の男性を多く治療した業績で知られていた。おいのアビシャイ・オストリンさんはフェイスブックで乱射事件について、医師が負傷者を助けて回った後に撃たれて死亡したと書いた。

被害者や遺族のための支援活動が、米国内で広がっている。

イランからワシントンに難民として移住した29歳学生は、ピッツバーグに特に縁もないが、シナゴーグ再建と遺族支援のための募金ページを立ち上げ、これまでに90万ドルを集めた。

ピッツバーグのイスラム教徒団体が葬儀費用や負傷者の医療費などを集めるために立ち上げた募金には、20万ドル以上が集まった。

容疑者は退院

ロバート・バワーズ容疑者(46)は28日朝にシナゴーグで銃を乱射し、11人を殺害した疑い。現場で警官隊と銃撃戦になり負傷した後、病院で治療を受けていたが、29日に退院した。

米報道によると、29日の予備審問に出廷した容疑者は、勾留審問の権利を放棄し、公選弁護士を要求した。

29件の容疑で訴追された容疑者は、1日にも審問のため出廷する予定。

(英語記事 Pittsburgh shooting: Trump visits synagogue amid protests

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46040236

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